2021 Fiscal Year Research-status Report
フランス国立高等芸術学校における「わざ」の創発を通じた教育理論の解明
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18K13052
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
奥井 遼 同志社大学, 社会学部, 准教授 (10636054)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | わざ / 現象学 / 人形遣い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パフォーミングアートの実践活動をフィールドとして、身体を使った「わざ」の稽古場面における参与観察を行い、その習得および創造のプロセスを記述・考察することを目的としている。2021年度の成果は以下の二つの通りである。 (1)フィールド調査 2021年度もCOVID-19のため海外調査が叶わなかったが、日本における伝統芸能・現代芸術についてのパイロット調査をいくつか継続することができた。具体的には、京都や大阪を拠点とする現代人形劇の劇団の動向について調査し、資料を得た(2021年6月-8月、10月-12月)。また、兵庫県南あわじ市の淡路人形座に複数回訪れ、最新の動向を調べるとともに、公演に向けた稽古場面の調査を継続した(2021年8月、2021年11月)。 (2)論文掲載・編著本の刊行 研究代表者が編者の一人となった学術書や、国際誌を含めた複数の学会誌に投稿した論文が以下の通り刊行された。「わざ」に関する研究を特集したフランスEHESS発行の人類学誌『Techniques & culture』に淡路人形座における稽古の分析をまとめた論文「Gestural Interactions in the Intensive Training of Waza at a Puppet Theater」が掲載された。哲学・現象学の研究誌『メルロ=ポンティ研究』に、フランス国立サーカスの事例を考察した論文「わざの習得とコミュニケーション」が掲載された。また、「身体哲学」に関する日仏共同研究の成果が、共著本『Experiences du corp vivant』(編著:Alexandre Legendre & Haruka Okui、出版社:Paris, L'Harmattan)として刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19により海外調査および国際学会・研究会への参加が停滞気味となったためである。この状況を打開するため、国内のパフォーミングアート(演劇や人形劇など)に関する調査に着手し始めた。国内での実践者とのつながりが生まれたことにより、国内調査が充実しつつある。これまでの海外調査で得たフィールドデータの分析と組み合わせることによって、当初目的としていた「わざ」の稽古場面の記述そのものは進展している。 また、論文掲載・国際共著本の刊行を順調に重ねている点においては順調であり、論文や書籍の刊行を通して、軸となってきた教育哲学関連学会に加え、現象学をはじめとする哲学、人類学などの社会科学の領域でも知的・人的ネットワークが広がりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きフィールド調査を進め、身体を使った「わざ」の稽古場面における事例を総合的に分析した成果をまとめあげていく。具体的な方策は下記の通りである。 (1)海外調査:COVID-19の状況を見ながら海外調査を敢行する。現代芸術におけるわざの創発プロセスを明らかにするために、フランスを中心とするヨーロッパの芸術および教育実践に広く目を向け、先駆的な事例に関する資料を収集する。国立学校のみならず、街の子育て施設、劇場、カフェといった場所の事例も調査する予定である。 (2)国内調査:海外調査と並行して、日本国内における先端事例(大阪、京都、淡路島、飯田等)におけるフィールド調査を充実させ、劇場や芸術祭などを中心に、わざの継承・発展のプロセスを記述する。 (3)成果の発表:国際学会への参加ができる見通しになりつつあり、また国内の学会シンポジウムへの招へいも決定している。それらの機会を活かし、「わざ」の稽古をめぐる教育理論について成果を発表する。
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Causes of Carryover |
2021年度中に計画していた国内学会での発表、および2021年3月に予定していたフランス・パリでのフィールドワークを、いずれもCOVID-19のため断念した。当発表および調査については、2022年度に実施予定である。
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Research Products
(5 results)