2018 Fiscal Year Research-status Report
学校組織内における管理職育成プロセスの解明及び育成プログラムの開発
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18K13055
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑中 大路 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70734383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 管理職 / 育成 / Off-JT / OJT |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の公立学校では、今後急激に必要とされる学校管理職需要への対応が求められており、また特に、昨今の「働き方改革」の動向を踏まえるならば、「学校外での管理職育成(Off-JT)」ではなく、「学校内における管理職育成(OJT)」の在り様の検討が必須である。上記全国的な状況は研究代表者の本務校が存する長崎県においても当てはまる。そこで本年度は、長崎県における「学校内における管理職育成(OJT)」の在り様を検討するべく、先行事例のプレ調査及び長崎県教育センター関係者との共通理解を図った。 先行調査に関しては、2つの学校を対象に実施した。1つは、長崎県内の公立A小学校である。当該小学校校長のX氏はこれまで、学校現場・教育行政における豊富な経験を有しており、長崎県における教育課題にも精通している。X氏は現在、A小学校着任2年目であり、現任校において実施している管理職(候補者)育成の留意点等の聞き取りを行った。もう1校は県内私立B中学・高校における管理職(候補者)養成である。B中学・高校は現在、学校改革に取り組む最中であり、次代を担う管理職候補者の育成が喫緊の課題となっている。人事異動がない私立中学・高校という特徴を踏まえ、公立学校との比較事例として位置付け調査を続けている。 また、長崎県教育センター関係者との共通理解に関しては、主に、当該センターで行われるミドルリーダー研修及び管理職研修の改善方策を探る形で実施した。長崎県教育センターでは現在、管理職研修の改訂に取り組んでおり、その方向性は研究代表者の研究内容とも合致する。そこで研究代表者の研究内容の共通理解を図るとともに、管理職(候補者)研修における校外研修・校内研修のすみ分けについても検討を始めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「学校組織内における管理職育成」は従来から行われてきた営為であるが、先行研究においてその具体化・言語化は不十分である。それゆえ、研究初年度である今年度は、「学校組織内における管理職育成」の具体化・言語化に取り組むことが目的であった。 実際に今年度は、人材育成に定評のある長崎県内A小学校X校長へのインタビュー調査(A小学校における管理職育成の取り組み及びX校長のライフヒストリー調査)を実施し、今後の分析枠組みに資するデータを収集することができた。 また、「公立学校における管理職育成」との比較対象事例として私立B中学・高等学校における人材育成(管理職養成)を位置づけ調査を行った。調査の結果、当該実践に関わるさまざまなデータ(学校組織、学校改革のプロセスなど)を収集することができた。 以上より、当初の目的であった「学校組織内における管理職育成」の具体化についてはおおむね達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、「学校組織内における管理職育成」の具体化については、インタビュー調査等を通じて明らかになりつつあるが、その「言語化」(分析・論文化)については未着手である。次年度は調査データの公表へ向けたデータ分析、事例報告に取り組みたい。 また、今年度データを枠組みとしたインタビュー調査の拡大にも取り組む。「学校組織内における管理職育成」に資する研究知を生成するべく、事例を増やし、分析を継続していきたい。 加えて、比較対象事例として位置付ける私立B中学・高等学校における人材育成(管理職養成)事例の継続調査と、長崎県教育センターにおける管理職(候補者)研修とのすみ分けについても継続して協議しながら明らかにしつつ、新たな管理職育成プログラムの開発へとつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
論文執筆に関わる諸経費(投稿費など)を計上していたが、今年度は目的に沿った調査を実施することができたものの、その分析・報告にまでは至らなかったことが次年度使用額が生じた理由である。残額は次年度の投稿に関わる諸経費に活用する予定である。
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Research Products
(8 results)