2021 Fiscal Year Research-status Report
20世紀初頭ドイツにおける「危険にさらされた子ども」の救済に関する歴史研究
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18K13057
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉原 薫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610897)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育史 / ドイツ / 児童保護 / 女性史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀初頭ドイツにおける「危険にさらされた子ども」の救済に関する歴史研究である。具体的には、1907年にドイツのベルリンに開設された「ドイツ児童保護センター」(Deutsche Zentrale fuer Jugendfuersorege)において展開された「危険にさらされた子ども」の救済活動について明らかにするとともに、ドイツ児童保護事業における同センターの役割について一次史料をもとに考察することを目的としている。 この目的を達成するために、令和3年度に計画をしていた研究課題は、③「ドイツ児童保護センター」が児童保護事業の成立・発展において果たした役割の分析と本研究全体のまとめをすることであった。 ドイツに史資料調査に行き、一次史料を入手する計画であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてドイツへの渡航が難しかったため、日本国内で入手できる史資料に限定され、本研究のまとめを行うまでには至らなかった。 しかしながら、20世紀初頭のドイツの児童保護や児童保護活動に取り組んだ組織についての史料『Jugendfuersorege und Jugendvereine』を読み進めるなどして、児童保護活動の全体像をつかむことに取り組んだ。その結果、「ドイツ児童保護センター」の活動を医療とのかかわりの中で理解することの重要性が明らかとなった。 また、本研究を通じて得た知見をもとに、尾上雅信・三時眞貴子編(2022)『新・教職課程演習第2巻 教育史』協同出版の104-105,158-160頁を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、2年間にわたってドイツへの渡航ができず、入手できる史資料に限界があったため、当初の計画よりは「遅れている」。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もドイツへの渡航の見通しが立てにくい状況であることから、デジタルアーカイブを活用するとともに、ドイツの図書館およびアーカイブにデータでの史資料入手が可能か打診し研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
理由は主に二つある。第一に、「若手研究における独立基盤形成支援(施行)」による追加配分があるため、書籍や物品などはそちらから支出したからである。第二に、新型コロナウイルスの感染拡大により、学会参加や史資料収集のための出張旅費に関する支出が生じなかったからである。 次年度は物品購入の計画を再度見直し、史資料収集などで使用する計画である。
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