2022 Fiscal Year Research-status Report
20世紀初頭ドイツにおける「危険にさらされた子ども」の救済に関する歴史研究
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18K13057
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉原 薫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610897)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育史 / ドイツ / 児童保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀初頭のドイツにおける「危険にさらされた子ども」の救済に関する歴史研究である。具体的には、1907年にドイツのベルリンで開設された「ドイツ児童保護センター」(Deutsche Zentrale fuer Jugendfuersorge)」において展開された「危険にさらされた子ども」の救済活動について明らかにするとともに、ドイツの児童保護事業における同センターの役割について一次史料をもとに考察することを目的としている。この目的を達成するために、令和4年度に取り組むべく計画していた研究課題は、③「ドイツ児童保護センター」が児童保護事業の成立・発展において果たした役割の分析と本研究のまとめをすることにあった。 年度当初にはドイツに史資料調査に行き、一次資料を入手する計画も立てていたが、前年度から引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてドイツへの渡航が難しかったため、日本国内からドイツに取り寄せを依頼できる史資料で引き続き研究に取り組んだ。その結果、「ドイツ児童保護センター」が当時のドイツにおける児童保護活動の担い手である民間慈善団体や地方行政機関と連携を取りながら、児童保護事業を牽引する役割を担っていたこと、さらに、各団体のみならず個人の篤志家の支援を受けながら児童保護事業を展開していたことが明らかとなった。 なお、本研究を通じて得られた知見をもとに、杉原薫「20世紀初頭ドイツにおける子どもを対象とした医学の興隆」『鹿児島大学教育学部研究紀要(教育科学編)』第74巻、101-110頁、2023年を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、3年にわたってドイツへの渡航ができず、入手できる史資料に限界があったため、当初の計画よりは「遅れている」。
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Strategy for Future Research Activity |
追加の史資料収集を検討しつつ、現時点で手元にある史資料を活用して研究の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、研究計画を変更せざるを追えなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、助成金を史資料収集と研究の総括としての意味合いを持つ研究会及び学会への参加・報告のための旅費に使用予定である。
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