2020 Fiscal Year Research-status Report
幼児の主体的な学びの質を高める幼児教育モデルの構築
Project/Area Number |
18K13059
|
Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
中西 さやか 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (40712906)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 学び / 子どもの視点 / 観察とドキュメンテーション / ドイツ / Bildung(ビルドゥング) / 保育者の役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①子どもが主体的に学ぶプロセスの概念化(1年次)、②子どもの主体的な学びにおける子どもと保育者の応答的なかかわりの概念化(2年次、3年次)を通して、子どもが学ぶプロセスの質を高めるための幼児教育モデルを構築することを目指すものであった。2020年度は、前年度までの研究成果を踏まえ、子どもの側から乳幼児期の学びを読み解く視点について、整理・検討した。具体的には、Gerd E シェーファーの提起するBildung概念に着目し、Bildung概念は乳幼児期の学びを読み解く視点として、どのような意義を有するのかについて検討した。その結果、乳幼児期の子どもが学ぶプロセスを「その子」にとっての意味という視点から読み解くために、遊びや生活の中で「子どもが実際に行っていること」を記述・理解するための理論的概念の必要性が明らかとなった。また、子どもの側から乳幼児期の学びを読み解くためには、①「その子」にとって意味あるものを形成していくオープンエンドな学びのプロセスに着目すること、②そのような学びのプロセスに迫るために、子どもが世界像を形成するときに用いる感覚や思考を概念化すること、③保育者はあらゆるコミュニケーションの手段を用いて、子ども自身の見方(パースペクティブ)に迫ろうとする存在として位置づけること、④子どもは保育者の「推測」としての理解を肯定したり否定したりする存在として位置づけることが重要であることも示された。 これらの知見は、「見えない学び」と言われる乳幼児期の学びを新たな視点から概念化し、子どもの学びにおける保育者の役割を捉えなおすにあたって有効であり、実践事例の分析視点としても可能性を有していると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、2020年度は事例分析を行なう予定であったが、事例収集やインタビュー調査を十分に遂行することができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、事例分析を行ない、主体的な学びにおける子どもと保育者のかかわりを具体化する。加えて、これまでの研究成果を総括し、幼児期の学びの質を高める幼児教育モデルの理論的枠組みを構築する。
|
Causes of Carryover |
前年度に予定していた学会発表、事例収集およびインタビュー調査が実行できず、翌年度にこれらを移行したため。
|
Research Products
(3 results)