2020 Fiscal Year Annual Research Report
Critical Study of the Growth Model Characterized by "Redoing": From Levinas's Theory of the Other
Project/Area Number |
18K13064
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
安喰 勇平 茨城キリスト教大学, 文学部, 講師 (20802862)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レヴィナス / 中断 / 教育学 / 語り示しの実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2020年度はレヴィナスの他者論の方法面に関する検討を重点的に行った。この方針で研究を進めた背景には、「~し直す」行為の成長モデルとは何か、という内容面を考察するだけでなく、その成長モデルについていかに論じるか、という方法面を検討することの必要性が前年度までの研究成果として明らかになっていたことがある。 以上の理由から、2020年度の研究では、レヴィナスの他者論の方法上の特性を明らかにすることを通して、「~し直す」行為の成長モデルに関する教育学の論述のあり方を提示した。近年注目を浴びている「中断の教育学」構想を示したガート・ビースタは、レヴィナスの中断をめぐる論述に注目している。本研究は、ビースタが十分に取り上げていないレヴィナスの中断をめぐる論述方法に着目し、レヴィナスのテクストの特性を明らかにした。その特性は、中断について論じることの困難性を把握しつつも、それでもなお計算された危険を冒しつつ中断について論じることで、読者に対して中断の契機をもたらすよう工夫されている、というものである。この特性をデリダのレヴィナス解釈を拠り所としながら「中断と修復の結び目の痕跡の集列」として定式化し、教育哲学の理論的実践の一つの可能なあり方として提示した。 なお上述の研究成果は、教育思想史学会第30回大会のコロキウムにおいて発表された。研究代表者が企画者として携わった当コロキウムは、各報告者がレヴィナスとデリダとドゥルーズというフランスの哲学者のパフォーマンス面に着目するというチャレンジングな取り組みとして結実した。
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