2020 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラム改革における教師教育論の生成と展開に関する比較教育史的研究
Project/Area Number |
18K13066
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
塚原 健太 琉球大学, 教育学部, 准教授 (00782426)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 教科研究 / カリキュラム開発能力 / カリキュラム研究態勢 / 岡崎師範学校附属小学校 / 東京女子高等師範学校附属小学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、教師のカリキュラムマネジメント能力の重要性が指摘されており、その力量形成を促す校内研究態勢や、教師教育プログラムの構築が急務である。本研究は、こうした現代的課題に示唆を得ることを目的として、国際的な新教育運動における教師教育の影響を視野に入れて、大正新教育期にカリキュラム改革を行った小学校において生成した研究態勢や教師教育の特質を考察することを課題としている。この課題に基づき、2020年度は次の3点の調査・分析を進めた。
第一に、東京女子高等師範学校附属小学校の唱歌専科教師玉村なみを事例として、担任教師との協働による題材研究を通して、子どもの事実に即して自らの実践知を更新していくカリキュラムの実践的研究の主体として成長する過程と、それを可能にした要因を明らかにした。本事例研究の成果は、日本教科教育学会第46回全国大会にて報告するとともに、分担執筆著書にて発表した。 第二に、事例の一つである岡崎師範学校附属小学校において、生活教育に基づく教科教育の実践改革が行われた1920年代後半~1930年代前半に焦点をあてて、大正期の特設学級において教師が蓄積した実践知が他の教師に共有される過程とともに、教師たちのカリキュラム開発能力を高めるための態勢が構築される過程を明らかにした。 第三に、オンライン会議ができる環境を整え、大正新教育や米国進歩主義教育における教師教育の研究に取り組む研究者との情報交換を行い、今後の展開の可能性を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、本年度実施予定であった、国内外での史料調査が実施できず、必要な資料の収集・分析が行えなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染拡大の状況を見極めながら、早期に米国および愛知県内での史料調査を実施する。万が一、2021年度内に実施することが困難な場合は、研究期間の延長を検討する。 また、調査が実施できない見込みの上半期には、これまで収集した資料の分析を進め、国内の学校内における研究態勢とその教師教育論の展開に焦点を当てた研究成果の発表を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた国内外での調査が実施できなかったため。ただし、本年度の研究遂行を目的に、予定していた旅費の一部を資料の購入費用とオンライン会議のための機器購入費用に充てた。 次年度使用額は、本年度に実施できなかった調査を実施するための旅費に充当する。
|
-
-
[Book] 大正新教育の実践2021
Author(s)
橋本 美保・田中 智志(編著)、塚原 健太ほか
Total Pages
461
Publisher
東信堂
ISBN
4798916811