2021 Fiscal Year Research-status Report
幼小教育現場におけるアクティブ・ラーニングの源流と可能性に関する日仏共同研究
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18K13072
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
瓦林 亜希子 都留文科大学, 教養学部, 准教授 (10780249)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フレネ教育 / 子ども主体 / アクティブラーニング / フランス / 興味・関心から出発する学び / 自己表現 / 批判的思考 / 学習者主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、1)南仏にてフレネ教育を実践してきた3人の先生方を日本に招聘し、都留市内の学校での生徒たちとの交流や大学での講演とゼミ等での研究交流、2)仏で販売されているフレネ教育の小学校用国算の学習教材の購入、3)共同研究先である仏のロレーヌ大、国立東洋言語文化研究所、トゥールーズ大のいずれかを訪問し、研究者へのインタビューや現地の学校訪問と資料収集、を予定していた。しかしコロナ禍による海外渡航の制限や国際郵便事情の混乱により、実現不可能な状態となった。そこで海外との研究交流は諦め、国内での学校見学の実現を模索した。コロナ感染状況が緩和した21年11月に、8月の日本教育学会の大会で大阪市生野区の生野南小学校の独自の実践を知ったことから、同小学校の公開研究会に参加した。生徒の3分の1が児童養護施設から通う厳しい状況という生野南小は、木村幹彦校長が中心となり、教師の側から権威性を排し子どもとの上下関係を水平関係へと転換と、「心を育てる国語科教育」と「ことばで紡ぐ生きる教育」の二つを柱にし学校独自の6年間の連続したカリキュラム「生きる教育」の作成に取り組んだ。人権教育から性教育、市民教育までをも総合的に網羅した内容は、子ども主体の学習の保障はもちろんのこと、教師自身も主体的に学びのあり方を改革しようと試みた非常に先駆的な実践であった。又、直接的な海外との研究交流が不可能な中、オンラインでの交流を模索し、この科研費の助成を頂いた上で、2022年2月に仏フレネ学校校長オレリア・ルヴェ先生の特別講演「ヴァンスのフレネ学校の教育理念と現在の実践」を企画し、当日の通訳を担当したところ、50名以上の参加があり好評を得た。3月には、京都の京田辺シュタイナー学校を訪問し、教員へのインタビューと校舎内の見学を行い、子どもの成長段階を最優先に構築された教育内容と環境整備の実態について知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度の主な研究計画として、1)南仏にてフレネ教育を実践してきた3人の先生方を日本に招聘し、都留市内の学校での生徒たちとの交流や大学での講演とゼミ等での研究交流、2)仏で販売されているフレネ教育の小学校用国算の学習教材の購入、3)共同研究先である仏のロレーヌ大、国立東洋言語文化研究所、トゥールーズ大のいずれかを訪問し研究者へのインタビューや現地の学校訪問と資料収集、の3つを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大による海外渡航の制限や国際郵便事情の混乱により、どれも実現できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き可能な範囲内で、日本国内のフレネ教育等の学習者主体の教育を行っている学校現場での調査を行いつつ、同時にその記録のまとめと論文化に着手する。そして仏への渡航が可能になり次第、現地での研究調査を行う。特に仏トゥールーズ市内の私立学校で、幼小中と連続してフレネ教育を実践している教育機関があると判明したため、次年度には学校内の見学を果たし、フレネ教育を幼小中と連続して行なうことの意義について分析する。また、共同研究先であるロレーヌ大LISEC研究所より、22年10月に開催予定の同研究所主催のシンポジウムでの発表を依頼されているため、日本の小学校における子どもの自由な自己表現を尊重した実践の歴史について、現地での発表を予定している。同時に、ロレーヌ大のあるナンシー市内の公立小中高の学校訪問も考えている。さらにトゥールーズ大からは、日仏の研究者交流の一環として、23年3月に2週間の予定で大学への招聘の依頼を受けており、主に大学院の学生を対象に、日仏の子ども主体の教育実践の歴史について講義を行う。そして22年秋以降に、本研究の成果と交流の締めくくりとして、南仏でフレネ教育を小中高で行ってきた3人のフレネ 教師たちを日本に招聘し、仏でのフレネ教育実践の歴史と現状についての講演会と、都留市内の小中高の訪問と生徒たちとの交流を計画している。もし彼らの都合が付かない場合には、仏トゥールーズ大の日本教育研究者を日本に招聘し、日仏に共通する新自由主義の教育への影響と、昨今の学習者主体にシフトする教育改革についての講演を行う。但し、コロナウィルスの感染状況によっては、調査方法や開催方法を遠隔で実施可能な方法に変えて実現する予定である。さらには、仏で販売されているフレネ教育の小学校用国語・算数の学習教材一式を購入し、フレネ式個別学習の実際の過程についても分析する。
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Causes of Carryover |
今年度の主な研究計画として、1)南仏にてフレネ教育を実践してきた3人の先生方を日本に招聘し、都留市内の学校での生徒たちとの交流や大学での講演とゼミ等での研究交流、2)仏で販売されているフレネ教育の小学校用国算の学習教材の購入、3)共同研究先である仏のロレーヌ大、国立東洋言語文化研究所、トゥールーズ大のいずれかを訪問し、研究者へのインタビューや現地の学校訪問と資料収集、を予定していたが、コロナ・ウィルスの感染拡大の影響でどれも実現不可能となってしまったため、これらを全て次年度に実施する予定である。次年度は、日本国内のフレネ教育等の学習者主体の教育を行っている学校現場での調査と、仏へ渡航しての現地の学校訪問や資料収集等の研究調査も行う。その際に、仏で販売されているフレネ教育の小学校用国語・算数の学習教材一式も購入する。さらに日仏研究交流としては、仏ロレーヌ大で行われるLISEC研究所主催のシンポジウムでの発表と、仏トゥールーズ大からの招聘による大学院での講演も予定している。また、仏から日本への招聘として、南仏でフレネ教育を小中高で行ってきた3人のフレネ教師たちか、もしくは仏トゥールーズ大の日本教育研究者を都留に招き、本学での講演会と都留市内の小中高の訪問と生徒たちとの交流を計画している。但し、コロナウィルスの感染状況によっては、調査方法を遠隔で実施可能な方法に変えて実現する予定である。
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Research Products
(9 results)