2018 Fiscal Year Research-status Report
市町村教育予算の規定要因として地方交付税制度に関する研究
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18K13076
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
櫻井 直輝 会津大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (60785385)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地方教育財政 / 地方交付税 / 市町村予算編成 / 基準財政需要額 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はこれまでの研究成果をふまえながら,地方財政状況調査等のマクロデータの分析を行い,地方交付税が市町村財政に対してどのような形で影響を与えているのかを分析した。 公開されている最新データについて教育費基準財政需要額と地方財政状況調査の教育費に関する支出を項目別に分析した。この分析とJSPS16H07392「地方自治体の教育予算編成における財政トランスファーの実態と効果に関する調査研究」の成果と併せて発表を行った(日本教育行政学会第53回大会 於:静岡大学2018年10月) 分析結果からは以下の点が示された。第一に,基準財政需要額と歳出規模の分析からは,地方交付税の基準財政需要額が教育財政支出を方向付けている可能性が示唆された。ただしそこでの財政保障は教育費総額としての保障という面がより強く,個別経費に与える影響は比較的弱くなる傾向が看取される。第二に,措置率と財政力との関連では,特に交付団体では財政状況に依らず,教育財政支出がなされている。このことは,地方交付税が財源保障を行うことで,地方団体は自らが設定した水準の教育財政支出を可能にしていると考えられる。第三に,地方団体の教育予算編成においては,学校等の要望や地方団体の予算編成方針といった個別事情が優先される一方で,地方交付税をはじめとした上位政府からの入力は弱く,特に基準財政需要額を通じて示された標準的な行政サービスの内容(規模)は大半の地方団体が考慮していなかった。第四に,こうした傾向は教育委員会の予算原案作成において見られるが,成立した予算については,地方団体の一定数で基準財政需要額によって示された標準的な行政サービスに必要な経費が措置されていると考えていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はこれまでの調査研究の成果を総括しつつ,本調査研究への接合を図るため,学会発表及び論文執筆を進めたため,訪問調査を進めることができなかった。一方で,統計データを使用した基礎的なデータ整理,学会への投稿などができたため次年度以降の研究に対して有益な整理ができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は訪問調査の実施を中心として自治体予算編成の実態について,学校,教育関係団体と併せて教育委員会担当者へのヒアリングを進めたい。 また,これまでの分析や先行研究の整理を今一度見直し,研究課題の明確化や調査項目の精査をしたいと考える。
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Causes of Carryover |
本年度は研究成果公表に向けた論文等の執筆を中心的に行ったため,予定していた訪問調査を実施しなかった。そのため旅費を次年度へ繰り越すこととした。
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Research Products
(1 results)