2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化に対応する「社会に開かれた」幼児教育課程の開発的研究
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18K13078
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Research Institution | Shiga Junior College |
Principal Investigator |
李 霞 (山田霞) 滋賀短期大学, その他部局等, 准教授 (50712030)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会に開かれた教育課程 / 幼児教育 / カリキュラム・マネジメント / 地域の特色を生かしたカリキュラム編成 / 主体的な学び |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のシンガポールにおける就学前教育改革の動向及び課題を究明するため、1990年代以降のシンガポールの教育政策の変遷、とりわけ2000年代に入って以降の就学前教育課程政策の変遷をたどり、就学前教育改革を巡る政府関連部署の動きにも注目し、分析を行った。 その結果、以下のことが明らかとなった。すなわち、これまで徹底的な学力選抜主義と詰め込み式の教育によってエリート育成に注力してきたシンガポールでは、変化の激しい社会に対応する創造力・革新意識こそ生き残るために必要な資質能力と認識され、生涯にわたって学び続けることのできる新しいタイプの人材を育成するために、1990年代の後半から教育政策の転換が図られてきた。とくに、2000年代に入ってから、こうした新しいタイプの人材の育成における就学前教育の重要性が認識され、幼稚園は小学校1学年の準備段階と見なされ、そのカリキュラムは教師が教科内容を教え込む形となっていた従来のやり方が是正され、子どもの興味・関心に基づいた学習者の主体的な学びが重視されるようになった。しかし一方で、現行の就学前教育課程政策において、英語と母語による読み書き識字能力の習得に重点が置かれており、教師による詰め込み型の教授の余地が残されていること、また、従来の人材選抜のための振り分け制度をはじめ、試験が学生評価の主要なモデルであり続けている現状から、政府の新しい人材育成理念を実現させるにあたって多くの障害となる要素が存在している、などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、2018年度には、シンガポールにおける就学前教育改革に関する政策の調査・分析を行った。また、計画を作成する時に予定していたシンガポールの公立幼稚園のMy First Skoolに対する調査の実施が困難になったため、代わりに、現地のBethesda (AMK) Kindergarten及び Greene-land Child-care-centerを調査対象にした。二度の渡航を通して、この二箇所にて授業観察とともに、管理者の園長・課程管理主任に対するインタビューを行い、シンガポールの就学前教育課程の編成及びカリキュラム・マネジメントの実態についておおよそ把握することができた。 文献調査やシンガポールにおけるフィールド調査を踏まえ、滋賀短期大学附属幼稚園の園長をはじめ、教職員とともに、3歳児を対象とした社会の資源を生かした教育課程の再編について打ち合わせを重ねてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、予定通りに、附属幼稚園の3歳児を対象に策定した教育課程を実施し、途中経過を評価しながら、修正作業を行い、進級に伴い4歳児クラスの教育課程を策定していく。 2020年度及び2021年度には、予定通り、4歳児クラス・5歳児クラスにて実践調査を継続し、途中経過を評価しながら修正作業を行い、最終成果をまとめることを目指す。 なお、2019年から2021年の3年間、実践調査を行いながら、シンガポールにおける就学前教育改革についての最新動向に注目しつつ、必要に応じて、シンガポールの幼稚園やチャイルドケアセンターといった就学前教育機構に対する現地調査を追加で実施する予定である。
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Research Products
(1 results)