2023 Fiscal Year Research-status Report
戦時下日本の高等教育機関における「文化交流」の教育的機能に関する基礎的研究
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18K13081
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
山本 尚史 筑紫女学園大学, 人間科学部, 講師 (90767542)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際理解 / 国際教育 / 文化外交 / 実際化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き『国際教育の理論及実践』の分析を行った。また本年度は、本科研を着想し、研究を進める契機となった駒澤大学の芝崎厚士氏との情報交換をきっかけにして、「文化外交官」と呼称される外務官僚たちにも研究の目を向けて調査を行った。 それらのプロセスにおいて山本尚史「1920年代における「国際教育」の実際化に関する予備的考察 ー『国際教育の理論及実際』収録の諸論稿をもとにー」『筑紫女学園大学教育実践研究』(10)、2024年3月を発表した。「国際教育」の「実際化」がテーマであるが、幼小中高大等の各教育課程に加え、社会人に至るまでの一生涯に及ぶ国際教育の重要性を確認するとともに、各教育段階でどのように取り組むものか、その構想と取り組みを明らかにした。昨年度から引き続いての研究であるが、幅広い年齢層、あらゆる人が教育対象となっており、当時、「国際教育」がある種、熱を帯び、積極的に展開されようとしていた萌芽をつかめたと考察している。 また、文化外交官に影響を与えたと思われる河合栄治郎などの東京帝国大学出身者らとの交流にも着目をして研究を進めることが出来た。史資料の調査については国立国会図書館のオンライン公開の史資料を中心に閲覧を行った。 そして、本科研と関連する研究対象である柳澤健について国際日本文化センターの共同研究とも関連しながら、その成果発表に向けて戦前外交官の足跡の洗い出し作業を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料調査に行く十分な時間が確保することが難しくなっている。 一方でこれまでの調査結果の取りまとめについては、進められているため、次年度において研究成果の発表が期待できる。そのため「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度のため、これまでの本科研で収集した史料の目録及び関連する研究を取りまとめた成果報告書の作成を予定している。 また、大学史研究会において研究成果を発表予定であるとともに、7月に開催される日本国際文化学会において本科研の研究成果を活用して登壇予定である。 こうした機会を活用しながら、本科研の成果を取りまとめていく。
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Causes of Carryover |
まず、2024年7月に予定されている日本国際文化学会でのコメンテーターとしての登壇、同年12月に開催予定の大学史研究会での発表の2回の出張旅費を予定している。加えて、最終年度のため、報告書の作成を予定している。
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