2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における外国人学校の公的保障に関する史的研究ー行政主体の輻輳性に着目して
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18K13083
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
呉 永鎬 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (00781163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外国人学校 / 各種学校 / 朝鮮学校 / 公的保障 / 教育の公共性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた公文書館等における、外国人学校の各種学校認可および補助金支給に関わる行政文書の探索は難しくなった。2020年度には、これまでの研究実績から、実地調査のハードルが相対的に低い朝鮮学校を中心に、資料調査を行った。具体的には京都、大阪、愛知、神奈川、東京、広島、福岡の朝鮮学校に足を運び、各学校が所蔵する学校認可関連の資料を探索し、撮影または複写した。また認可取得や補助金取得の交渉に直接あたった人々への聞き取り調査も並行して実施した。結果、学校認可にあたっては、認可権を持つ自治体が、他の自治体の取り組み、認可の際に課した条件、朝鮮学校側の申し立ての内容、認可後の関与のあり方等を、相互に参照していたことが明らかとなった。朝鮮学校への都道府県レベルでの補助金交付は、1970年の東京都が始まりとされるが、その詳細な経緯や、内部での議論過程は未だ明らかとなっていない。その端緒を発見することは容易ではないが、認可に関する調査から、一つの自治体から言わば「芋づる式」に、他の自治体の経緯が明らかになる可能性がある。引き続き調査を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関連府県の公文書館や公立図書館の多くが休館や入館制限、県外からの利用者受け入れを行わない等の措置を取ったことと関わり、行政文書の探索を計画通りに行うことができなかった。高齢となる関係者への聞き取りも憚れる状況であった(オンラインでのインタビューも試みたが、対応できない方が多かった)。
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Strategy for Future Research Activity |
・次第に利用可能となった公的機関での調査や、既にラポールが形成されている対象者・その関係者への聞き取りを計画し、実施する。 ・研究で得た知見をまとめ、教育関連諸学会において発表したうえで、論文としてまとめる準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定していた資料調査を実施できなかったためである。2021年度から所属研究機関が鳥取に移ったこともあり、旅費負担が大きくなるため、それに充てる。
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