2021 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における外国人学校の公的保障に関する史的研究ー行政主体の輻輳性に着目して
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18K13083
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
呉 永鎬 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00781163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外国人学校 / 朝鮮学校 / 各種学校 / 公的保障 / 公共性 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染拡大を背景に、大学から教員に対しても出張許可が十分に下りず、計画したすべての調査を実施することは不可能であった。そのような中でも、京都市、横浜市、倉敷市、東京都の各朝鮮学校に足を運んで資料調査を行ったり、外国人学校および行政関係者への聞き取り調査を実施することができた。調査結果からは、外国人学校の公的保障をめぐり地域間の差が少なくないこと、そこに地方行政や有力議員等との顔の見える関係face-to-face realationshipの有無が影響していること、バックラッシュが起こりうる外国人支援という取り組みを特別ニーズ支援や私立各種学校支援などとラベルを変えることによって公的支援の合意形成を達成していること、地方自治体間で互いの取り組みを照会しながら外国人政策の指針や実践が組みあがっていったこと等が明らかになった。 また、近年日本においても議論が深まってきている「マイノリティ-マジョリティ関係」や、マジョリティ特権、インターセクショナリティ(複合差別)といった論点および重要概念と、本研究が対象とする日本独特な文脈ならびに外国人学校の公的保障の歴史との関連性についての理論的考察も深めることができた。マイノリティを支援する制度が、開始・継続・終了する際に、どういった力学がはたらくのか、アクターの違いを踏まえてさらに詳細に検討する必要がある。 なお本研究は調査期間を1年延長して、当初の研究目的を達成するための計画を立てている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に研究代表者の所属先が変更となり、研究の拠点が京都から鳥取へと移った。勤務先の変更、研究環境の整備、慣れない業務といったことに、引き続くコロナ禍が重なり、計画していたすべての調査を実施できたわけではなかった。とは言え、オンラインを活用したインタビュー調査をはじめ、可能な範囲で調査・研究は行ってもいる。
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Strategy for Future Research Activity |
・次第に利用可能となった公的機関での調査や、既にラポールが形成されている対象者・その関係者への聞き取りを計画し、実施する。調査にあたっては、対象者の年齢や、学校への訪問などコロナ禍の影響でハードルが高くなっていることを踏まえ、オンライン調査等も活用しながら研究を進める。 ・研究で得た知見をまとめ、教育関連諸学会において発表したうえで、論文および書籍としてまとめる準備を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関が2021年度に変更となったこと、またそこにコロナ禍が重なり、高齢者への聞き取り調査や学校訪問調査が十分に行えなかったため、未実施の調査を行うための費用を翌年度分として請求した。
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