2018 Fiscal Year Research-status Report
Meaning and limits of multilingual education policy in Central Asia
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18K13084
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言語教育 / 少数民族語 / 母語教育 / ウズベキスタン / カザフスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度にあたる平成30年度には、ソ連時代の民族教育政策の理論と実践を再整理し、中央アジア諸国において実施されてきた言語教育政策の理念と現状を政策文書、統計と先行研究の分析を通して明らかにすることが目的であった。 この目的を達成するために以下の二つの課題に取り組んだ。①英語、日本語、ロシア語での先行研究の収集に努め、文献調査を行った。②現地調査の一環として、9月7日~14日にウズベキスタンのタシケント国立教育大学及びヌクス国立教育大学において言語教育(ウズベク語、ロシア語、英語、カラカルパック語とその他の少数民族語)の教員養成に関する聞き取り調査と資料収集を行った。また、タシケント市内のカザフ語初等中等教育学校とヌクス市内のロシア語初等中等教育学校を訪問し、少数民族の言語教育の状況について校長と教職員への聞き取り調査を行った。11月2日~7日にはカザフスタンのカザフ国立教育大学とカザフ国立教育科学アカデミーにおいて言語教育(カザフ語、ロシア語、英語、少数民族語)の教員養成の課題に関する聞き取り調査と資料収集を行い、エンベクシカザフ郡のウイグル語初等中等教育学校を訪問し、少数民族語教育の状況について校長と教職員に聞き取り調査を行った。二つの現地調査から浮かび上がった共通の課題は、少数民族の中でドミナントな言語(ウズベク語、カザフ語とロシア語)の教育ニーズが高いにもかかわらず、これらの教育の質の問題がある(教員・教材不足等)。また、両方の国においてソ連時代の母語教育保障の理念が変化しており、母語教育は権利としてではなく、機会として保障されるようになったことである。 研究の中間報告として、研究の理論的枠組みに関する発表を日本比較教育学会(広島大学、6月22日~24日)において行い、初年度の現在調査の結果を英語で論文としてまとめており、2019年度内に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度の計画としては、現地調査において各国では二つ以上の初等中等教育学校を訪問し、少数民族語の実施状況を調べる予定であったが、学校を調査目的で訪問するのにウズベキスタンでは国民教育省、カザフスタンでは教育科学省の許可が必要であり、許可の申請に時間がかかってしまい、調査の日程が限られてしまった。その理由で、ウズベキスタンでは2校、カザフスタンでは1校しか調査できていないため、調査結果の一般化が難しい。今後はこの二つの国において追加調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目にあたる2019年度には、引き続き文献調査によりソ連時代に言語教育政策の再整理とソ連解体以降の中央アジア各国の現教育政策の理念の比較を行いつつ、現地調査をタジキスタンとキルギス共和国で行い(9月と3月)、研究の中間報告を日本比較教育学会(2020年6月)で行い、学術誌に投稿する。 2018年度の中間報告は2019年6月7日~9日に開催される日本比較教育学会第55回大会(東京教育外国語大学)で行い、国際学術誌"Language, Education and Identity"に投稿する予定である。
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