2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-National Research of Role of School Teachers and Teaching in Multicultural Society
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18K13086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 史子 東京大学, 教養学部, 特任講師 (80751544)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化的に適切な指導 / 多文化教育 / 外国籍児童生徒 / マイノリティ / 移民 / 特権性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新型コロナウィルスの感染拡大により当初の予定からは大幅な変更を余儀なくされたが、目的にかなう別の調査を実施することができた。成果は主に下記の3点である。 (1)海外の先行研究のまとめー多文化社会における教員の役割や指導法、およびマジョリティの特権性に関する海外の先行研究をまとめたレビュー論文、日本の文脈に照らした教育社会学関連の書籍、教科書などを執筆した。 (2)国内の教員を対象とする質問紙調査ー国内の公立小・中・高校の教員1,843名を対象に、外国につながりのある児童・生徒の指導に関するウェブサーベイを実施した。分析の結果、外国籍児童生徒の指導経験は一般的な文化的多様性に対する態度を肯定的に捉える向きに働くが、その経験が日常的になるにつれ、民族的・文化的差異に対する配慮は薄れ、マジョリティ生徒と同じように指導するようになるという可能性が示唆される。 (3)移民生徒が多く通う都立X高校定時制におけるフィールドワークー中国やネパールからの移民生徒が多く通う都立定時制高校において、全校生徒を対象とした学習状況や学校生活に関する質問紙調査を行った。X校では、日本人生徒と比べて、ネパールやフィリピン出身生徒の方が学習全般に対して積極的な姿勢を示している。一方、中国出身の生徒には消極性や家族のサポートの少なさが特徴として浮かびあがった。また、学校への帰属意識は日本人生徒と比べて、中国・ネパール・フィリピン出身生徒の方が平均的に高い。 (2)(3)については、今後さらに分析を進め、成果の公表を行う。これまで、日本では教員の文化的多様性に対する見方について大規模な調査は行われてこなかったが、本研究では、外国籍児童生徒の指導経験が多様性の見方に与える影響について明らかにすることができた。引き続き、文化的多様性に応える指導法の確立に向けて分析と調査を継続したい。
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Research Products
(5 results)