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2018 Fiscal Year Research-status Report

イタリア公立学校の多様性教育支援と複合的プロジェクト型パートナーシップの調査研究

Research Project

Project/Area Number 18K13092
Research InstitutionMorioka College

Principal Investigator

高橋 春菜  盛岡大学, 文学部, 助教 (80781418)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywordsイタリア / 学校 / インクルーシブ / 特別ニーズ / 包摂 / 障害 / 支援 / 教育
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、イタリアの学校で特別教育ニーズBESの子どもたちをいかに支援・教育しているか、現地で3件の学校(組織)を訪問調査し、以下の5点が明らかになった。1. BESのうち1992年104号法で定める障害のある児童生徒のみ「個別教育計画」PEIであり、他のBES児童生徒(発達障害及び文化社会的ニーズ)には「個別教授計画」PDPである。その内容も日本の解釈と大きく異なる。2.特別支援教員は1992年104号法律にもとづく従来の枠組みで認定される障害のある児童生徒のみに配置され、発達障害等の他の障害及び特別ニーズ児童生徒には配置されない(根拠となる法律を欠く)。ただし1名でも104号法規定の対象児童が在籍していれば、その特別支援教員の支援は学級全体に及ぶ。3.上記の法的状況に照らして、BESの子どもたちが集える特別教室は重要である。学校で生きにくさを感じる子どもたちがニーズの区別なく共に過ごせるとともに、必要な個別支援や個別活動の機会を与えられる。教員及び外部の教育員らにとっても、異なる専門性を持ち寄り教育計画の立案をおこなう、特別支援教員が配置されていないBES児童のニーズも把握して実際には支援するといったように、チームで全体をケアする体制ができている。4.ウェルビーイング(Benessere)という怠学・退学防止(ないし学校教育の質向上)のプロジェクトが学校現場で浸透しつつあり、その枠組みのもとでBES児童生徒対応がおこなわれる事例(予算・活動の事実上の共有)もみられ、しばしば外部施設とも連携する。5.教育観の面では、多様な制作活動を通じて子ども自身による表現のイニシアティヴを励まし、そうした制作活動を原学級の子どもたちの活動に貢献する内容とすることで、間接的でも原学級の子どもたちとの接続を促そうとする包摂的なアプローチが浮かび上がった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初は現地の学校統合組織IC[Istituto Comprensivo](幼児教育から前期中等教育の複数の学校を統合して運営する。)での調査を1件としていたが、今年度中にIC2件(ボローニャ県ボローニャ市・トレント自治県トレント市)のほか、技術・商業・情報系高等専門学校(ボローニャ市)への調査訪問を実施した。各学校(組織)における調査内容にはばらつきがあったものの、明文化された法規や制度からは窺い知れない現場の運用実態や個別の学校での工夫、これらに通底する教育観などを浮き彫りにすることができた点で有意義な現地調査となった。
ただし今回の調査では、原学級の様子や特別教室の様子などを断片的に観察したにとどまり、これら複数の場所や活動のあいだの相互の位置づけ、教師や教育員らのあいだの連携など、要素間の関連については検討に至らなかった。また、州の監督・運営による地区センターの取り組みについても、当初は訪問を予定していたものの、今回は着手していない。多様な個別事例が存在することから、その実態を一定の程度まで把握したうえで統括組織にアクセスするほうが全体像を理解しやすいと判断したためである。
以上より、総じて有意義な知見が得られたこと、さらには次年度以降の課題が明確になった点で、進捗状況はおおむね良好といえる。

Strategy for Future Research Activity

次年度の調査計画は概ね以下の通りである。
1.学校統合組織IC1件につき、一定の期間(一週間ほど)継続的に観察をおこない、学校内での連携や活動の効果など、要素間の関連を検討する。訪問先には内諾を得ている。
2.州の監督・運営による地区センターの取り組みについて、引き続き資料収集に努めるとともに訪問調査をおこなう。
3.イタリアで年次開催される教育的・社会的インクルージョンに係る国際会議(11月、於・リミニ)にて情報収集をおこなう。とくに、狭義の特別支援の枠に収まらない、学校内外での包摂的な教育活動についてイタリア国内外の情報を得る。
4.日本国内外の文献収集を進める。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 「ホーム」から「世界」へ―H.アーレント「私的領域/公的領域」概念によるイタリア公共図書館解釈の試み2019

    • Author(s)
      髙橋春菜
    • Journal Title

      比較文化研究

      Volume: 29 Pages: 17-34

  • [Presentation] Concept of public library as place for intercultural education: form and implications from a new Italian public library2018

    • Author(s)
      Haruna Takahashi
    • Organizer
      Emerging Researchers’ Conference (ERC) at ECER 2018 " Inclusion and Exclusion, Resources for Educational Research” Bolzano, Italy 3 - 4 September 2018
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] イタリア教育学研究Ⅳ -これからの市民社会における公教育のあり方-(「今日の学校に教育参加する学校外主体」)2018

    • Author(s)
      髙橋春菜
    • Organizer
      日本教育学会第77回大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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