2019 Fiscal Year Research-status Report
イタリア公立学校の多様性教育支援と複合的プロジェクト型パートナーシップの調査研究
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18K13092
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
高橋 春菜 盛岡大学, 文学部, 助教 (80781418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 国際会議 / 多様な論者 / 多様な教材 / ウェブ会議 / 特別教育計画 / 特別指導計画 / 地区センター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、11月にイタリア現地のインクルーシブ教育に係る年次国際会議に出席し、国内の特別支援教育に関する多様な議論の論点、多様な論者、多様な実践領域、多様な実践主体、多様な教材などについて情報収集することができた。これまでイタリアのインクルーシブ教育を牽引してきた代表的な論者による、1980年代に比べて昨今はインクルーシブ教育に対する「半信半疑」(scietticismo)が蔓延しており、それが何よりも高いハードルになっているという見取りなど、実態を調査分析していく上での有益な視点も得ることができた。心理学の領域における主要な論者の議論に触れることができ、支援のベクトルや、介入の在り方について、現在のイタリアのスタンダードを具体的に把握できた。 本来ならば、前年度に引き続き、学校統合組織での特別教育計画(PEI)と特別指導計画(PDP)の作成の手順や成果について調査する他、多様性包摂的な教育実践について幅広く情報収集する予定であった。しかしながら、後述するように、新型コロナウィルス感染症の蔓延のため、年度内の主な現地調査として予定していた2月から3月にかけての調査の実施を取りやめたことから、そうした現地調査は実施できなかった。 ただしコロナ禍にあっても、イタリア国内の関連組織からはインターネット上のメールリンク等を通じてインクルーシブ教育に関する様々な情報が配信されており、これまで積み残していた「地区センター」の取り組みについては、そうした情報配信を通じて継続的に情報収集することができた。また、通常であれば日本にいながらでは参加できないような当該領域の会議も同時双方向型のウェブ会議ソフトやユー・チューブの同時配信など通じて閲覧し、この非常事態下における現地の関係者の議論や取り組みにも触れることができたことは有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述の通り、主な現地調査としていた2月から3月の現地調査を取りやめたことから、学校現場でのフィールドワークは全く実施することができなかった。11月の渡航で基礎的な実態把握はおこない、周辺的な情報収集は継続したものの、支援と教育の関係を検討するという当初の研究計画に見合う成果は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新型コロナウィルス感染症等の蔓延ないし感染拡大防止の観点から海外渡航の制限が続く可能性は十分に高いことから、一部の調査をウェブ会議によるものに切り替えるなどの検討を進めたい。その場合、全体の研究計画も構成し直す必要性が生じる可能性がある。最終的な方向性は変えずとも、到達点を設定し直すなど、妥当な目標設定が求められると考えている。一方、文献調査や基礎資料の翻訳など、現在の状況でも十分に可能な作業を引き続き継続していく所存である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延のため、年度内の主な現地調査として予定していた2月から3月にかけての調査の実施を取りやめたため。
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