2020 Fiscal Year Research-status Report
イタリア公立学校の多様性教育支援と複合的プロジェクト型パートナーシップの調査研究
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18K13092
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
高橋 春菜 盛岡大学, 文学部, 助教 (80781418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 地域教育会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も新型コロナウィルス感染症等の蔓延ないし感染拡大防止の観点から海外渡航の制限が続いたことから、現地調査を実施できなかった。本来ならば、調査方法をウェブに切り替えるなどしながら、初年度の作業を継続する予定であった。具体的には、学校統合組織での特別教育計画(PEI)と特別指導計画(PDP)の作成の手順や活用実態について調査する他、多様性包摂的な教育実践について幅広く情報収集する予定であった。しかしながら、現地における度重なる学校閉鎖や行動規制によって当事者らの職務と生活が不安定化しており外部からの調査要求に応じる余裕を欠いていることは、調査者からの一方的な働きかけでは解決できない障壁であった。 そのため本年度は文献調査に限定し、現地で教育実践に携わる当事者らの声を、当該地域の戦後史に求めることとした。具体的には、調査地におけるインクルーシブ教育の端緒ともいえる第二次世大戦後の教育会議に目を向け、その議事録を読み解くことで、いかなる言説が障がいのある子どもの統合を正当化し、また当の「統合」をいかなる実践として捉えていたかを検討した。そのうち、全般的な背景となる全日制学校についての議論の部分について、イタリア言語文化研究会にて報告した。また、イタリア近現代史研究会において同時代の「成人教育」について情報収集したことは、期せずして当時の公教育のイデオロギーが持ち得た守備範囲について、より視野を広げる結果となり有益であった。 コロナ禍にあっても「地区センター」の取り組みについては、そうした情報配信を通じて継続的に情報収集することができた。また、ボローニャ大学とのウェブ会議を開催し、断片的ながらも、障がい児教育の教育者養成について知見を得た。また、近年のEUにおける教育改革について主な公的文書の確認を済ませた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、現地調査に加え、学校現場の実践者らへの聞き取りもが困難であったため、学校現場の実態を知るフィールドワークは実施できなかった。現状に関する周辺的な情報収集は継続したものの、支援と教育の関係を検討するという当初の研究計画に見合う成果は得られていない。とはいえ、歴史的な文脈に視点を移し替えたことで、新たな知見を蓄積し始めることができたことは有意義であった。また近年のEUレベルの教育改革の動向も整理できた。当初の計画内容は遅れているものの、これに代替して進められた作業の成果もあることから(3)の評価としている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の事態の収束をみて、ぜひ、現地の実践者らに対する聞取りを実施したい。その際には、必ずしも本研究計画の当初の問いにこだわらず、場合によっては緊急事態下での工夫や問題などに積極的に焦点を当てることで、現状把握に努めたい。そのうえで、感染症危機以前の実態の再構成にも取り組みつつ、全体的な検討を行う必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は上記の理由により海外調査を実施しなかったことから、旅費が未使用となったため次年度に繰り越したものである。
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Research Products
(2 results)