2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K13093
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
知念 渉 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (00741167)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 非行少年 / 非行 / 不良少年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、雑誌、新聞、インターネットの記事を分析することにより、2000年代以降の〈不良少年〉言説の特徴を明らかにすることである。2年目にあたる2019年度は、以下の三つの作業を行った。 第一に、朝日新聞のデータベース「聞蔵Ⅱ」を用いて、1989年から2018年までの30年間で「非行」というワードが含まれる記事を整理・分析した。その結果、明らかになったことは、次の点である。1989年~1996年までは学校教育の問題に言及する記事が多く含まれていたのに対して、1997年~2000年になると、少年法改正との関連で非行に言及する記事が多くなっていた。さらに2000年代になると、非行少年の処遇をめぐる問題(たとえば、施設や送致、相談、家裁といった用語)として語る記事が多くなっていた。加えて、とりわけ2010年代に新聞で多く取り上げられていた事件は、2015年に少年が起こしたものと同年に少女が起こしたものがあり、それらを対比しながら分析していくことで、2010年代の少年犯罪の語られ方が分析できるのではないかという示唆を得ることができた。2020年度以降は、その二つの事件に分析の焦点をあわえて分析をしていく予定である。 第二に、インターネット上における〈不良少年〉言説を分析するための事前準備を進めた。インターネット上の言説を分析した研究は、近年、国内外を問わず数多くなされるようになってきた。それらの先行研究の流れを把握するとともに、分析手法について検討を行った。 第三に、〈不良少年〉に関する研究において重要な位置を占めるP. Willisの『ハマータウンの野郎ども』(熊沢誠・山田潤訳, 1996, 筑摩書房)の受容のされ方が日本とイギリスでどのように異なるのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画段階では、インターネット上の言説を分析することを想定していなかった。しかし、新聞記事を分析していくなかで、2000年代以降の〈不良少年〉言説の特徴をあきらかにするためには、インターネット上の言説を分析に含めるべきだと考えるようになった。そのために、先行研究の把握や分析手法の習熟について、計画段階で予想していたよりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、インターネット上の言説にまで分析対象を広げたために、計画通りに研究が進んでいない。今後は、インターネット上の言説の分析に通じている研究者に共同で分析を依頼するなどして、研究を計画的に進められるようにしていきたい。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が計画していたよりも遅れているために次年度使用額が生じた。次年度に、資料を収集するために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)