2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical and Quantitative Approaches to Generalizing the Mechanisms of Educational Inequality
Project/Area Number |
18K13096
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
濱本 真一 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (10782245)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 数理社会学 / 教育格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、出身家庭背景による教育の格差発生のメカニズムを解明し、教育制度による不平等の解消可能性を検証することである。出身家庭背景が子供の教育達成に大きく影響しているだけでなく、教育機会の格差が「なぜ生じるのか」という問いに対して理論的な説明を与えることを目指した。 2年目までの成果を踏まえ、3年目は統計分析と数理モデルの両面から、これまでの教育格差のとらえかたに関する理論的な検討を中心に行った。教育達成過程において、個人は複数回の選抜によって、異なる集団(順位)に振り分けられる。出身階層による選抜の結果に対する格差が積み重なることによって、同一世代内での学歴(分布)の格差が形作られていく。社会調査データを用いて、日本の学歴格差が、どの教育機関での選抜の格差によって生じているのかを分析したところ、学歴格差の大部分が高校から大学への進学機会の格差によって形成されていることが明らかとなった。日本における大学進学は、階層間格差と同時にジェンダー間の格差も含んだ複合的な不平等の構造を持っている。大学進学のジェンダー差の推移を分析したところ、1990年代生まれの世代においてもなお無視できないレベルで存在する。ただし、戦後世代を通じて大学進学のジェンダー差は減少しており、大学進学格差の要因は、今後階層的な要因が支配的になっていくことが予測される。 現在は実証分析の結果によって2年目までに作成した教育機会発生メカニズムに関する数理モデルの命題を検層できるようにするために、統計モデル、数理モデルの両者を改良中である。
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