2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における宗教系大学をめぐる宗教運動・政治運動の関係史
Project/Area Number |
18K13102
|
Research Institution | National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education |
Principal Investigator |
齋藤 崇徳 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 助教 (80781541)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 教育社会学 / 社会運動 / 宗教運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宗教系大学の学生による宗教運動と政治運動の大学に対する主張と、それに対する大学側の反応を明らかにすることで、戦後日本における大学のあり方と大学が置かれていた文脈を問い直すことである。具体的には、(1) 政治運動(団体)の宗教系大学への主張、(2) 宗教運動(団体)の宗教系大学への主張、(3) 大学および個別大学の学生の反応と帰結を、明らかにすべき課題として設定している。 平成30年度(1年目)においては、分析枠組みを構築するための先行研究の整理および、運動団体についての史資料の収集と分析を行うことで、次年度以降の分析の基礎を固めた。具体的には、社会運動論・社会運動史、および大学史・教育社会学の先行研究を収集・整理し、また、各種の社会運動団体の機関誌および個別の大学の学校史や学報などの資料の収集・整理も行った。 とくに、(1) 社会運動論・社会運動史の研究成果を参照することによって既存の教育社会学分野における研究への貢献が可能であるという見通しがついたこと、(2) 主にYMCA関係の資料について分析・発表することを通じて社会運動・キリスト教・大学の関係史を分析する際の座標軸を設定することができたこと、(3) 戦前期を対象とした研究も参照することによって戦後日本の文脈を広く捉えることができたことを、実績として挙げることができる。これら実績は、次年度に行う団体のケーススタディおよび大学関係の資料の分析を行う際の基盤として重要だと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年進展している社会運動論・社会運動史の研究成果を参照することによって、教育社会学における知見との差異や関係を明らかにするという課題を、研究開始以前よりも明確に見出すことができた。また、とくにYMCAの機関誌を分析したことによって、次年度以降に行う分析のモデルを作成することができた。 他方で、運動団体の機関誌の収集は容易ではなく、設定した研究計画よりもやや広い範囲について調査を行う必要があるという課題が見えてきたが、概ね研究計画通りに行うことが可能だと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)は、引き続き資料・研究の収集・整理を行いながら、特定の社会運動団体・大学の資料を分析する予定である。 また、学会発表を3回以上行うとともに、論文を投稿することにより、社会に成果を発信していく予定である。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった図書の発行が遅れ、年度内に購入することができなかったため。翌年度に購入する予定である。
|