2018 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園の園舎建替による環境の変化が園児の遊びと社会的行動に及ぼす影響の検証
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18K13103
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大島 みずき 群馬大学, 大学院教育学研究科, 講師 (90633438)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 園舎環境 / 動線 / 社会的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は主に旧園舎における動線の時期による特徴についての検討・発表,および仮園舎で生活する幼児の社会的行動とストレス反応の測定を行なった。 旧園舎における動線の検討については,2017年度12名の年中幼児について夏・秋の2回,登園から自由に遊ぶ時間を中心とした映像(各90分)をもとに幼児の遊びにおける動線を作成した。夏・秋の時期による幼児の遊びの動線を比較した結果,夏は全体的に保育室内の滞在が多く,園庭で遊び始めても特定の場所と保育室とを行き来をするなど,保育室がより所となっており,秋は保育室をより所としなくても遊びの拠点を自分達で見つけられる様子が示された。今後は新園舎において同様の調査を行うことで幼児にとっての縁環境の影響を検討する。 仮園舎生活中の幼児の社会的行動とストレス反応の測定については保育者,および保護者にそれぞれ評定を依頼した。社会的行動については中澤・中道(2017)を参考に社会的行動尺度簡易版を作成し,2017年度から継続して担任保育者にクラス成員の社会的行動について年2回評価を依頼し,縦断的なデータを得た。また,幼児のストレス反応については,嶋田・戸ケ崎・坂野(1994)をもとに幼児の日頃のストレス反応,および幼稚園に行きたがっているかなどについての質問項目について保護者に評定を依頼した。2018年度までの予備的な分析からは幼児の社会的行動については「過活動」などで仮園舎生活の影響が見られる可能性や仮園舎生活中の幼児のストレス反応については「不機嫌・怒り」の得点が比較的高い可能性などが示されている。今後,社会的行動・ストレス反応については2019年度も継続してデータを得ることで幼児にとっての3年間の園舎環境の変化の影響を示していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度までは計画していた通り,旧園舎における動線の分析,および社会的行動・ストレス反応についてのデータの収集を行うことができた。今後も計画通り新園舎におけるデータを収集していく。一方で得られたデータに基づき保育者に行うインタビューについては,日常の保育に加え新園舎の計画,仮園舎生活,引越しと多忙を極める保育者にその渦中に行うのではなく,旧園舎→仮園舎→新園舎での生活を総括して話を伺うことを構想している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には以下の調査を予定している。 (1)年中幼児の新園舎における動線調査を夏・秋に実施し,旧園舎との違いを検討する。 (2)新園舎で生活する幼児の社会的行動について年2回,担任保育者に評定を依頼し,その年度の特徴について検討する。 (3)新園舎で生活する幼児のストレス反応いついて保護者に評定を依頼し,幼児の社会的行動との関連などを検討する。
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Causes of Carryover |
2018年度は調査遂行の関係から人件費の使用がなく,さらに勤務の関係から予定していた学会への参加や助言者を得るための研究会等への参加がかなわなかったことから,旅費の使用が一部のみとなった。また,2019年度に行う幼児の動線調査のために事前にアクションカメラを複数台購入したこともあり,予定していたデスクトップPCの購入を見送ったことで物品費について差額が生じている。 2019年度には本研究に関わる発表を含め3つの学会(教育心理学会,日本心理学会,発達心理学会)への参加を予定しており,さらに動線調査では調査および分析に行うにあたり学生の雇用および昨年度予定していたデスクトップPCも購入を予定している。
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