2019 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚コミュニケーションに起因した父子間社会的絆形成モデルの包括的解明
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18K13116
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
樽見 航 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40714895)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 匂い / 父性 / 母性 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
子の心身発達に環境要因が大きな影響を与えることが知られており、子にとっては特に親との関係は重要である。また親の養育能力やその神経機構を明らかにすることは、不適切養育を予防・修正する上で重要である。しかし、母子間の社会的絆形成に関する研究報告に比べ、父子間の社会的絆形成に関する研究報告は少なく、未だ萌芽的段階にある。加えて、近年報告された父子間の匂いによるコミュニケーションのメカニズムもほとんど明らかになっていない。本研究では、脳機能相互作用計測・生物学的因子(内分泌、遺伝子多型)・心理的計測を併用した学際的アプローチにより、未解明点を検証する。これに基づき、父子間の匂いの相互作用が社会的絆形成を促進させることを明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は、19組の子と父親が本研究に参加した。しかし、長時間の実験に子が耐えることができず、10組で実験が途中で中止された。残りの9組で解析を行ったが、匂い(未着用のシャツ・父親が着用したシャツ)、半球(右半球・左半球)の2要因被験者内計画での分散分析の結果,匂い,半球の主効果およびこれらの交互作用は有意ではなかった。また,父親の匂いの効果が性差において反応性の違いとして、検出されるかどうか検討した結果,全ての群において有意差は検出されなかった。 当初の予定では、父親の匂いにより、子は十分な反応性を示すと予想していたが、この予想は、間違っていた。今後は、ポジティブコントロールとして母親の匂いにより子が反応するか検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた実験系が、うまく機能せず、再検討に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポジティブコントロールとして、母親の匂いに反応するかどうか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予想よりも研究が進展しなかったため、次年度使用分が生じた。繰り越した経費は、被験者謝金に当てる予定である。
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