2023 Fiscal Year Annual Research Report
Characteristics and Functions of School Buses as an Environment for Early Childhood Care and Education
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18K13120
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
境 愛一郎 共立女子大学, 家政学部, 准教授 (70781326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 通園バス / 園内研修 / 研究保育 / 通園バスの歴史 / 幼稚園の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、通園バス内の保育の質向上に向けた園内研修の開発、実施を行った。5月から7月にかけて、新たに通園バスの乗務を行うことになった新任保育者を対象に、地域における通園バスの特性、運行状況と連動した子どもの活動の展開などについて解説し、保育環境としての認識を高めるオンライン講習を実施した。また、9月に研修参加者らが乗務するバスに同乗し、実態に即した保育計画を協働で検討した。また、車内の映像や写真を相互検討する研究保育を実施した。特に、映像についてはコースごとの特徴、保育者の姿勢や位置取りの比較に有効であることが示唆されたことから、今後、これまでの観察データ等を利用した映像教材の開発を進めていく予定である。 また、幼稚園の創立記念誌等に基づき、通園バスの導入時期や導入経緯の変遷を明らかにした。対象は、1980年代から2010年代までに発行された28点である。分析により、1960年から1970年にかけて、園児増加および施設拡充に対応する目的で通園バスの導入が急速に進んだ可能性があることがわかった。通園バスは、行動経済成長期から第二次ベビーブームにかけた幼稚園園の量的拡大を支えていたことが示唆される。他方、1975年以降、幼稚園園児数が明らかに右肩下がりになった際にも、通園バスに踏み切る園の集中がみられた。この場合の理由は、広域から園児数を確保するための経営維持戦略にあるといえる。総じて、通園バスは、幼稚園の栄枯盛衰の歴史とともにあり、その理由を代えながら、経営を支えてきたことが示唆された。
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