2023 Fiscal Year Annual Research Report
Does parenting experience alter multisensory emotion perception?
Project/Area Number |
18K13124
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 寿子 立命館大学, 総合心理学部, 助教 (90812579)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感情 / 視聴覚統合 / 成人 / 生涯発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,他者とコミュニケーションをする際,顔や声といった複数の手がかりを統合することで多感覚的に相手の情動を捉えている。この情動の多感覚知覚には発達的変化が見られることが明らかになってきたが,成人期における変化は注目されてこなかった。そこで本研究では,成人期における多感覚知覚の変容について,養育経験や加齢による影響を検討し,情動の多感覚知覚の生涯発達の様相を検討することを目的とした。 (1)養育経験とパーソナリティが顔と声からの情動知覚に与える影響: 養育経験のある成人は全般的に他者志向性が高い傾向が見られ,養育経験がなく他者志向性の低い参加者に比べると,顔を優先して情動を読み取ろうとする傾向が見られた。 (2)顔と声からの視聴覚知覚の生涯発達: 幼児期は顔を重視して感情を読み取るが,児童期には年齢とともに声を重視して情動を読み取ろうとする声優位性が高くなる。しかし,成人期の間に声優位性が減少し,高齢者では顔を重視した判断になるというように加齢によって大きく変化することが明らかになった。情動との比較として音韻知覚の課題も行ったところ,情動と異なり,児童期には年齢とともに顔優位性が高くなることが示された。一方,成人期では情動と同様,加齢に伴い声優位性が低くなる変化が見られた。これらを統合すると,児童期の発達は複数の情報を統合する能力の変化によるものであり,情動と音韻で異なる領域固有のものと言える。一方,成人期の変化は加齢による聴力モダリティの変化による,領域一般的な変化である可能性が示唆される。 (3)多感覚知覚実験のオンライン化: 期間内に対面実験の実施が難しくなったことから,オンラインで多感覚知覚実験を実施する試みを行った。情動の課題では,教示の工夫次第で実験室実験と似た結果が得られるが,音韻の課題では結果のばらつきが大きくなることが示唆された。
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