2018 Fiscal Year Research-status Report
The meaning that diverse experiences of sound in early childhood educational activities have for children's growth
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18K13127
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野口 紗生 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (60634277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子どもの体験 / 保育施設 / 音環境 / 音楽活動 / 保育環境 / アクションリサーチ / ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもが周囲の音を聴き、意味付けていく、といった音体験について、物理的な音事象、音に関わる文化・社会的規範と関わりつつ、実際の音体験がいかに形成されていくのか、そして音体験が子どもの育ちにとって持つ意味はどういったものであるのかを検討することを目的としたものである。音楽実践に加えて日常音環境との関わりについても焦点をあててみていく必要があることから、2018年度は保育活動の中でどのような音体験が考えられるのかを探求することを課題とした。具体的には、国内の2園(I園・U園)での調査と乳幼児の音体験に関わる文献探索を中心に、その他副次的な調査として保育園3園・小学校1校での視察調査も実施した。 (1) I園:アート活動を重視した保育を展開しており、音の面では音楽家を招聘した音楽実践を実施しているとの特徴を持つ園である。本年度は6月~2月に9回訪問し、保育活動全般、アート活動、音楽活動を対象に、主として年長児の保育活動の観察調査と実践者へのインタビュー調査を行った。観察調査では、観察記録と映像データを取得し、後日行動分析・談話分析を行う形で分析を進めている。インタビュー調査では、保育活動全般について及び観察対象の活動に関して、実践者の考えや行動の意図について等を尋ねた。 (2) U園:異年齢合同の室を使っており、室内に遊びコーナーを常設しているとの特徴を持つ園である。音の面では3~5歳児室のにぎやかさ、遊び時の音の混じり合いに問題意識を持っていたことから、音環境改善への取り組みを園と研究者らの協働で実施した。本年度は10月~12月に5回訪問し、音環境に配慮した保育環境づくりと年長児を対象とした音体験ワークショップを計画・実施した。実施状況の記録、実践者へのインタビューデータを取得し、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
I園での調査の実施については、当初の計画通り開始することができた。また、当初は予定していなかったU園の実践への参加は、本研究に新たな視座をもたらすものであり、これは計画以上の成果と考えている。しかしながら本年度予定していた活動のうち、国内園1園での調査が事前準備等の都合により実施できなかったこと、また、年度途中の妊娠により研究出張が困難になり調査を一時中断したこと・分析への着手に遅れが生じたことから、事例の収集、分析面で今年度の到達目標から遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降は、音体験の事例収集・分析の進展に向けて、国内園での調査の継続、これまで取得したデータの分析、及び国際比較のための海外の園での調査計画・実施を進める予定である。また、2019年度の国際音響学会に招待講演としての参加が決まっており、研究成果の発信とともに、海外での研究動向を探る。
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Causes of Carryover |
年度途中の妊娠により、全体として研究の遂行に遅れが生じた。予定していた研究出張、学会発表・出張が実施できなかったこと、必要な機器の購入が遅れたことが主な理由である。 2018年度に購入予定であった機器等の購入及び2019年度に予定している国際会議への参加、海外研究出張等のために使用する。
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Research Products
(1 results)