2020 Fiscal Year Research-status Report
The meaning that diverse experiences of sound in early childhood educational activities have for children's growth
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18K13127
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野口 紗生 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員 (60634277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子どもの体験 / 音環境 / 保育施設 / 音楽活動 / 保育環境 / 保育者 / アーティスト / アート活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①音の物理面、文化・社会面との関係性に着目した音体験の形成過程の分析、②音体験と活動との関係性の分析、以上のフェーズから成る。本年度は、これまでのデータの分析と音体験に関わるデータを更に収集する予定であったが、COVID-19の蔓延により、予定していた園の音楽実践(I園)やワークショップ(S園)等がリアル開催できない、県外を跨ぐ地域への訪問が困難である、海外園へ訪問できないなど、音体験に関するデータ収集は実施できなかった。従って、本年度はこれまで取得したデータに関する分析及び関連文献調査に加え、I園を対象としたアートに関する共同研究を行っている国内研究者との定期的なリモート研究打合せ、日常保育場面を観察予定であったK園での実践者インタビュー、副次的調査として療育施設N園の視察を行った。 I園に関しては、夏季アートワークショップ(WS)が開催されたことを受け、園のCOVID-19対策に徹底して対応しながら、8月、12月にアートWSに関する調査を行なった。音楽実践は調査できなかったが、国内研究者とのアートWSに関する分析から、音楽実践への視座を得ることができた。具体的には、対象園では造形活動として作品をつくると同時に、造形活動と密接に関わる想像遊びに関しても「想像世界をつくる」という方向性が捉えられ、これは音楽実践についても同様の傾向があることが考えられた。 K園でのインタビューでは、実践者から、穏やかな音環境が創造性、感性の育ちに深く関わること、居心地の良い環境構成には大人の役割が大きいことなどが具体的に語られ、音環境構成に関わる物理的、人的双方の環境づくりの重要性が捉えられた。加えて子どもの「聴く」という行為について、保育者が子どもと共に聴くこと、応答的に関わることが「聴く」行為の育ちの契機となるとの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、計画していた調査の遂行がほとんどできなかったため。昨年度までの出産・育児による計画の遅れを挽回するために可能な限り国内、海外の実地調査に取り組みたいと考えていたが、不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施してきた成果を踏まえ、本年度は以下の内容に取り組む。 ・実地調査・分析:COVID-19の影響が懸念されるが、新たな実地調査データの取得が不可欠なため、協力園との連携を密にはかり実施に向け取り組む。もし調査が不可能な場合は、過去のデータの整理、2020年度の実施成果を踏まえたデータの再分析などに重点を置いて取り組む。 ・研究成果発信:2020年度までの研究で得られた視座を踏まえ、「想像遊び」、「聴く行為の育ち」等の観点からデータを再分析し、成果発信としてまとめる。
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Causes of Carryover |
COVID-19蔓延により予定していた実地調査が実施できず、次年度使用額が生じた。2021年度は、不足分のデータ取得のための調査費用、新たに調査・分析を進めるための物品購入、成果発信のための費用として使用する。
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Research Products
(3 results)