2018 Fiscal Year Research-status Report
保育者の気づきに関する認知学習研修プログラムの効果
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18K13131
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
水落 洋志 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (80634013)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 保育者の熟達 / 知覚-情報処理システム / 気づき / 認知学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,保育者の保育場面観察時における気づきの熟達に関する先行研究は,保育経験を経験年数として捉え,保育経験年数の差異が保育場面に対する見方や捉え方にどのような影響を及ぼすかを検討した研究が主であった。しかしながら,これまでの先行研究は,事例や質問紙法を用いた質的研究が主であり,知覚-情報処理システムの視点から研究はされていない。この点に関して,著者は,これまで,保育経験年数と知識構造や視線行動パターンの観点から検討してきた。その結果,保育経験という実践を通して,経験年数を積み重ねることで,熟達した保育者は優先すべき情報とは何かに関する知識が構築され,且つ,効率的な視線行動パターンを可能とすることが示唆されている。そこで,本研究は,これまでの結果をもとに,保育熟達者の視線行動パターンや視線を向けている意図を可視化し,若年保育者への認知学習プログラムを構築し,その効果を検証することも目的とした。 2018年度は,以下を実施し成果を得た。1.多様な保育場面の動画撮影を行い,より気づきを必要とする場面を先行研究を参考に整理し,抽出した。2.先行研究を参考に熟達差を保育経験無群,保育経験0-1年目,保育経験2-4年目,保育経験5-10年目,保育経験11年以上の5群に分類し,作成した保育場面動画観察時における視線行動パターンと見ていた際になぜそこに目を向けていたのかについてインタビュー調査を実施し,熟達別の特徴を明らかとした。3.これらの結果をもとに,学習用のプレ実験映像の作成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマ,特に多様な保育場面の映像,保育熟達別の視線行動パターンおよび質的データの収集,先行研究の概観と考究,分析方法の妥当性の検討等が実施できたことから,概ね順調に進んでいる。しかし,より多くの実験参加者のデータを収集し,データの信頼性を今後検討していくが,その点に関しては,来年度実施の目処を立てることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,より多くの実験映像をさらに取集すること。そして,実験者数を増やし,データの妥当性を検討した上で,様々な場面における認知学習プログラムを作成していく予定である。 そこで,データの追加と分析方法の精度を高めて,理論的な精選を図り,知覚-情報処理システムの熟達の仮説モデルを構築するとともに,認知学習プログラムを作成し,その妥当性を検討する。これらを国内外の学会発表や論文投稿につなげる予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた旅費や人件費・謝金について研究経費を計上していたが,眼球運動測定データの保存及び動画の編集後のデータ保存に必要なハードディスクを必要としたため,そちらを優先的に研究費を使用した。しかし,次年度は,より多くの実験参加者や調査園の協力が必要となるため,旅費や人件費・謝金を必要とする。
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