2019 Fiscal Year Research-status Report
イスラムの文化的特色に立脚した美術教育の解明を目指した基礎的研究
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18K13145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
箕輪 佳奈恵 筑波大学, 芸術系, 特任助教 (60784915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イスラム / 美術教育 / 多文化 / 南アジア / 中東 / フィールドワーク / 教育人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多地域でのフィールドワークを通して収集した「美術教育を通したイスラムの実践」事例を、イスラムの教義と対応させて構造化することによってイスラム文化に即した美術教育の基礎理論を生成するとともに、それらを横断的に比較して、イスラムと美術教育との関係性をめぐる地域性を明らかにすることである。 本年度は、過去数年で実施したフィールドワークで収集した研究資料を元にした研究発表、ならびに新たな調査協力地の検討を進めた。これまで、モルディブ、英国、エジプトにおける調査を行なってきたが、多文化社会である英国における「美術教育を通したイスラムの実践」には、その目的や方向性に他の2カ国とは異なる特色が見られることを見出しつつある。2019年7月に行われた国際美術教育学会(InSEA)世界大会(於:バンクーバー、カナダ)においては、その背景となる地域社会の状況を踏まえながら、調査協力校であるイスラム系私立小学校にて実施した授業観察および教師インタビューより分析・考察した成果について口頭発表した。英国における調査結果については、さらなる検証を進めるため、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの協力のもと、新たな調査協力校であるロンドン郊外の公立中学校との連携・交渉を始めており、2019年10月に渡英した際に同校の教師と面談を行なっている。また、モルディブで実施したフィールドワークおよびそれによって得られた研究成果を元に、日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所において委嘱講師として講演を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エジプトにおける調査許可申請の遅延の関係で、英国での調査をさらに深める方向で研究の軌道修正を始めたが、そのための現地協力者との関係の構築が、予想以上に円滑に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中の渡英が実現すれば、フィールドワークを実施する。さらに、別の国・地域での調査の可能性を引き続き模索してゆきたい。
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Causes of Carryover |
2019年度中のフィールドワークが他の予定との兼ね合いで実施出来なかったため、2020年度における渡航費用として使用する。
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Research Products
(3 results)