2018 Fiscal Year Research-status Report
実験方法の妥当性と信頼性に関する生徒の評価・判断能力の解明とその向上
Project/Area Number |
18K13148
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大嶌 竜午 千葉大学, 教育学部, 助教 (40700414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 実験活動 / 妥当性 / 信頼性 / 評価・判断能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,生徒が実験計画を立案する際に,自らの実験方法の妥当性及び信頼性をどのように評価・判断するのか明らかにすることである。本研究の成果は,生徒が実験活動の見通しも持てないまま,教師に与えられた実験手順に従うだけとなっている実験活動の指導の現状を改善することに寄与することが期待される。 初年度は,先行研究における生徒実験活動の評価方法の特質の解明をすることを目的として取り組んできた。具体的には,シンガポールのナショナルカリキュラムであるシラバスの分析と,シンガポールのジュニアカレッジ(日本の高等学校レベルに相当)の理科教員へのインタビューを行った。その結果,シンガポールでは,学習内容として探究スキルが明示されていること,進学の際にもその結果が使用される試験において,実験活動に関わる実践的な能力も評価されること,その試験は生徒の所属校で行われること,及び評価項目が示されていることが明らかにされた。教師インタビューからは,シラバスには科学的探究について一律に示されているが,学校間によって実施には差があることなどが明らかにされた。 さらに,初年度には,次年度に実施予定であった調査をフィリピン,インドネシア,タイの中学生を対象に実施をした。中学校1年生から中学校3年生まで,それぞれの国の約千人の生徒を対象に,現地共同研究者とともに,調査を実施した。現在は,それらを分析するための基準を英語訳し,さらに精査しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の課題であった「先行研究における生徒実験活動の評価方法の特質の解明」について,分析の対象として考えていた資料を入手することは難しいということが判明したのだが,公的に示されている資料の分析に加え,シンガポールの理科教員へのインタビューを実施することができ,意図されたカリキュラムだけからは知り得ない現実についての情報を得ることができたため。 また,次年度に実施予定であった調査を既に終えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究課題は,「実験方法の妥当性及び信頼性に関する生徒の判断基準の解明」である。すでに,日本での調査結果はまとめられている。次年度に実施する予定であった,フィリピン,インドネシア,タイでの調査は,前年度に実施した。 そこで,次年度は,第一に,各国における共同研究者と調査の結果を分析するための枠組みを精査し,共有する。特に,自由記述を分類するための基準の明確化が重要と考えている。 その後,得られた結果を,国ごと,学年ごとに分析,及び日本,フィリピン,インドネシア,タイの4カ国での比較をすることによって,生徒の実験方法の妥当性及び信頼性における判断基準から,実験計画の決定方法に関する特質を挙げる。
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Causes of Carryover |
次年度において,調査結果資料に関する海外からの送料が当初計画より増えることが見込まれることにより,翌年度分に繰り越し使用することにした。
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[Book] 初等理科教育2018
Author(s)
吉田武男監修,大髙泉編者,大嶌竜午他
Total Pages
367
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-319-00297-9