2020 Fiscal Year Research-status Report
Developmental research on a new research methodology for application processes of mathematical method: From a perspective of computational linguistics
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18K13162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上ヶ谷 友佑 広島大学, 附属福山中学校, 教諭 (80813071)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学教育 / 研究方法論開発 / 客体化理論 / 授業実践論 / 推論主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主として,計量言語学的分析は,どんなデータの分析と関係付けるべきかを追究した.そのため,数学教育における客体化理論に着目し,実際の教育実践やインタビューの結果を分析した.また,デザイン・リサーチの方法論的枠組に基づき,実験的な授業を試みた. まず,客体化理論に基づいた分析としては,幼稚園における指のジェスチャーと発話の関係から代数的思考の端緒について検討した.昨年度の研究実績として,計量言語学的分析の背景理論として推論主義と客体化理論の必要性が明らかとなっており,客体化理論と計量言語学的分析の関係性を考えるための基礎的な知見が得られた. 次に,COVID-19の感染拡大が生徒の数学学習に与えた影響を,計量言語学的観点を見据えて検討した.インタビュー調査での生徒達の発言を,構文論的観点から分類し,COVID-19の感染拡大の前後での数学学習に関するアイデンティティの変化を事例的に考察した.まだ計量言語学としてコンピュータ計算をするほどのデータ量は得られていないが,研究方法論開発に大きな示唆を得た. また,数学の授業において,ユーモアが数学的方法の一種として拡張して考えるアプローチを誘発する可能性を,実験的な授業を通じて示唆した.本研究は,生徒達が数学的方法を活用するに至る過程を解明するための方法論開発を主目的としているため,計量言語学的な分析の対象として,数学的方法の活用が促進されている数学の授業もまた開発されなければならない.現状,事例的な示唆が得られたに留まっており,計量言語学的分析によって定量的なエヴィデンスが与えられるには至っていないが,その足がかりを得ることができた. 大規模データを用いた計量言語学的分析としては,COVID-19に関するTwitterのつぶやきを分析し,日本人が新型コロナウィルスについて議論する際に確率的用語をどのように用いているかを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生徒達が数学的方法を活用するようになる過程を,授業中の生徒達の発話の変化によって捉えるための研究方法論開発が,本研究の目的である.この研究方法論開発は,生徒達が授業中にたくさん議論を重ねており,その様子が記録できることが前提となる.しかしながら,COVID-19の感染拡大に伴い,実験的な授業の計画の大幅な変更を余儀なくされた.結果,知見自体は着実に得られているものの,研究成果をまとめる過程が現在のところ遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,一部制限はあるものの,現在の勤務校の学校の授業としては,授業実践を記録することができる環境となった.本年度は,複数の代替的アプローチから研究ノウハウを蓄積しつつ,本研究の主目的に接近することを試みる格好となったため,今後は,それらの知見を統合し,総合的な研究成果をまとめる必要がある.
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅れに伴い,国際誌へ投稿するための予算の支出が年度内にできなかったため,次年度使用額が生じた.英語での執筆は既に始めており,完成し次第,英文校正を実施する.また,投稿後,査読者から追加で文献の購入や分析の必要性を要求される可能性があり,その状況に応じて,文献購入や再執筆時の英文校正費用を支出する.
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Research Products
(7 results)