2018 Fiscal Year Research-status Report
我が国の算数・数学科における子ども達の推測と説明:実態の科学的明確化
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18K13164
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
早田 透 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (20803646)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 算数科における説明 / 日本の教科書 / プラクセオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,子ども達の算数科における説明に関する実態を解明することを試みる研究である。 本年度は,研究計画に沿って,説明に関する予備的な調査を小学校・中学校で行った。その結果,子ども達が「説明」と考えているものが,予想以上に幅広いことが明らかになった。 そのため,子どもの説明の実態を解明するためには,まず周囲の環境を調査する必要があることが認められた。そこで,我が国の算数教科書,特に証明との接続を意識した結果,図形領域において教科書がどのような説明を教えようとしているかを,プラクセオロジーという概念を用いて分析した。なお,分析の対象は,我が国で採択率が高い啓林館のものを選択し,いわゆる演習問題に該当するものを除き,それぞれの問題が要求している説明に対して,プラクセオロジー中のセオリー(その説明がどのように正当化されているか)が何であるかを量的に分析した。 分析の結果,小学校1年生から5年生までは,概ね証明に向けて段階的に説明の程度を高くしている(見た目や形に頼らない説明を要請することで証明に近づけている)ことが量的に確認された。一方,中学校に接続されるはずの小学校6年生だけがおおきく異なる傾向を示していた。具体的には,小学校1年生に要請する説明に近い,見た目や形で判断するよう求める説明が量的に多いことが確認され,課題であることが明らかになった。 これらの成果は,現在査読付きの国際学会に投稿中である。 合わせて,説明の出口である間接的な説明についての実態調査,研究も実施した。これらの成果は,いくつかの学会発表を経て,現在雑誌投稿のため整理中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子ども達の実態が想定以上だったために,ひとまず環境を研究することになった。 しかしながら,上述したような、理論的な成果が十分に得られている。 従って,その成果は概ね順調であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,一社の教科書分析が終わったところであるため、もう一社(東京書籍)の教科書を併せて分析する予定である。この二社で、我が国の算数教科書のシェアの60%を占めているため,我が国全体の傾向が明らかになるといってよい。 それらの結果をふまえ,当初目的としていた子ども達の実態を明らかにするような、理論的枠組みの構築をねらうものとする。 また,間接的説明についての調査は一通り完了したため,理論的枠組みを用いた分析を本格的に実施する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進んだため,当初予定していた予備的な計画を実施しなくて済んだ。このため,次年度使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)