2020 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるゼロ・トレランスの有効性と課題の実証的研究
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18K13174
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
井 陽介 立正大学, 社会福祉学部, 助教 (40750774)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生徒指導 / ゼロ・トレランス / 段階的生徒指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、以下のように、①生徒への質問紙調査の実施及び分析、②教師への質問紙調査の研究成果の執筆を中心に研究を行った。 ①生徒への質問紙調査の実施及び分析 生徒への質問紙調査は、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の学校で調査の実施が不可になったが、調査できる学校においては調査を実施した。質問紙調査の分析では、ゼロ・トレランス理念に基づく生徒指導が生徒にどのような影響を与えているのかということに視点を置いて進めた。特に学年が進むに連れて、生徒の起こす問題行動の増減はどのように変化するのかや生徒の起こす問題行動の内容の変化、生徒の規範意識に関する変化を中心に分析を行った。質問紙調査で得られた研究成果は、まとまり次第、学術雑誌への投稿を行う予定である。 ②教師への質問紙調査の研究成果の執筆 教師への質問紙調査の分析結果及び学会発表を通して得た知見等を整理し、研究成果の執筆を行った。教師への質問紙調査を通して得られた主な知見としては、調査校の教師は全体的な傾向として、ゼロ・トレランス理念に基づく生徒指導を肯定的に捉えていることが明らかとなった。しかし、自由記述の分析からは、多くの教師がゼロ・トレランス理念に基づく生徒指導に課題があると認識していることも明らかとなった。特に生徒への指導の在り方や教師が指導の統一をできていないことを課題として認識していることが明らかとなった。また、教師の指導の統一を図ることで、教師間に指導に対する認識の差異が生じ、そのことによって教師間の良好な人間関係を構築することを難しくする可能性があること等の知見も得られた。以上の知見をまとめ、学術雑誌(論文タイトル:「ゼロ・トレランス導入校の教師の意識-質問紙調査を通して-」、掲載誌:日本高校教育学会第27号)への執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度実施を予定していた教師へのインタビュー調査は延期を余儀なくされたものの、新型コロナウイルス感染症が収束すれば最終年度での調査は可能である。また、インタビュー調査以外の調査及び分析は大方済んでいることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施を予定していた教師へのインタビュー調査は、新型コロナウイルス感染症が落ち着き次第、実施する予定である。調査校とは、今後も連絡を密にして、可能な限りインタビュー調査を早めに着手できるようにしたいと考えている。 また、インタビュー調査で得られた研究成果は、学会発表及び学術雑誌への投稿にて行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、教師へのインタビュー調査の実施を延期せざるを得なくなったこと及び学会がオンラインでの開催になったことから、主に旅費の費用に余りが生じた。 次年度にインタビュー調査のための旅費として使用予定である。
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