2018 Fiscal Year Research-status Report
Business Game based Learning Program Development in Informatics for High School Education Focusing on Multitasking Behavior
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18K13177
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Research Institution | Shoin University |
Principal Investigator |
立野 貴之 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50564001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情報の科学 / ビジネスゲーム / マルチタスク / モデル化とシミュレーション / 教科「情報」 / 情報Ⅰ / 教科教育学 / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の過去の研究成果から、タブレットの環境はビジネスゲームの教育プログラムにポジティブな側面が示されている。具体的には、高校生がビジネスゲーム学習でタブレット利用する場合、1.彼らの心の動きとの高い親和性、2.潜在的な学習向上の可能性が明らかになった。本研究では、タブレットを利用したビジネスゲームでマルチタスクが誘発されやすい環境に着目し、その学習時の心の動きに配慮された教育プログラムを新たに開発する。加えて、課題とされた高校生の「情報の科学」の授業においてモデル化の理解が不十分という問題の解決方法を探求する。
まず実績として、マルチタスクに着目した学習環境を高校の実践において検証し、効果と改善点を明らかにするために、2018年度ではマルチタスクに関する先行研究の整理を行った。さらに、ビジネスゲームの授業が、今後の学習指導要領改定にも対応可能とするため、高校の教科情報に関する現状の調査を学生に対して実施した。調査を体系的にまとめタブレットによるビジネスゲーム学習の授業設計や、今後の高校生対象の調査内容に反映させるため、学生に協力をしてもらいタブレット使用のグループとタブレット未使用のグループでクラスを分けて授業を行った。特に、学生の情意的側面や経験にかかわる内容やインタビューやフォーカスグループの議論を行い、この質的データに基づいて質問紙項目を作成した。今後は、高校生を対象としたマルチタスクに関する情意的側面から検証をするため調査準備と、体系的に整理した先行研究をもとにさらなる詳細な分析を進める。
なお、タブレットだけでなくスマートフォンを利用したビジネスゲームPrice Game(以下、Price Game)による授業設計の仮モデルの検証を実施するために、プログラム修正を行い、スマートフォンで安定動作することの確認作業を並行して進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、Price Gameのタブレットによる運用面を考慮した議論と、教育環境におけるマルチタスクに関する現状把握を中心として、主に学生を対象にタブレット端末やスマートフォンに関して、彼らの活用の範囲を質問紙により検証した。システム開発に関しては、実践授業の対象となる高校生のマルチタスク環境によって、どのようにアクティブにして効果的な授業を進め、どのように授業をコントロールできるかということを初年度の調査から分析し、設計を行っている。今後のシステム設計と授業設計として、詳細な調査・実験を継続しつつ、対象者の議論とインタビューを記録する場を設ける予定である。また、システム開発の専門的知識と経験を有する研究協力者との議論を毎月実施している。
本研究課題の遂行の過程で得られた調査結果や実験結果などを、なるべく早い時期に社会や教育現場で役立たせるために、国内で発表を行った。また、研究成果を公開する研究室のホームページ上では、SNSをを設置し、調査・実験用ポータルサイト、アンケートシステムを活用した。今後は、調査に参加する生徒や教員を含めて、さらに議論を活発に行ってもらう予定である。
当初は、高校生のみを対象に授業とインタビューを実施する予定であったが、進捗状況および、協力者とのスケジュールの都合上、対象をまず大学1年生を中心と学生に協力をお願いした。高校生を対象とした授業とインタービューは2年次以降に行う予定とし、学生を対象にスマートフォンによるPrice Gameのテスト運用を先に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019度以降には、高校生を対象に授業分析とマルチタスクに着目したタブレット利用を考慮した教育プログラムの開発、そして、その実践と検証を複数回に渡り実施する。この理由は、一時点での分析に加えて時系列の変化に注目する分析にも重点を置く。なお、各回で異なる参加者を分析対象にする実践と、マルチタスクの影響に関する調査を並行して実施し、プログラミングを伴う教育実践も検討課題とする。改良をしたPrice Gameは、開発と検証の過程で、問題発見と改良の相互作用を繰り返しながら随時修正を行っていく。
また、量的データに加えて質的データの収集・分析に重点を置く。具体的には、高校生を知るために、先行文献や申請者の経験などに基づいた既存の枠組みの中での検討だけでなく、オープンエンドなインタビューやフォーカスグループの議論を行う。加えて、ID(Instructional Design)に基づく授業設計をし、設計部分をビジネスゲーム設計と授業設計に分け、ADDIEプロセス:「分析(Analysis)→設計(Design)→開発(Development)→実施(Implementation)→評価(Evaluation)」を複数回繰り返す。そして、マルチタスクに着目したPrice Gameを利用した学習環境を高校の実践において検証し、効果と改善点を明らかにする。
本研究の過程で得られた調査結果は、なるべく早い時期に社会や教育現場で役立たせることを目標に、国内学会の大会、研究会、および国際会議を中心に当該年度の研究成果を報告する。また、関連する学会では、研究成果の報告だけでなく、情報収集を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当該年度に計画していたシステム開発にかかわる支出を次年度以降に延ばし、使用しなかったためである。また、旅費に関しては、日本国内の学会発表を中心に参加したため予定より出張旅費を抑えられた。
2019年度は、システム開発にかかわる支出は、調査と授業実践の知見により慎重に設計が必要であると考えるため、研究開始から2年目以降から経費が必要になる。2019年度は、物品費(開発用PC、サーバ)、消耗品費、謝金(開発費)からの使用を主に計画している。また、6月と年度末に開催される国際会議への参加を検討しているための旅費を使用する。
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