2018 Fiscal Year Research-status Report
子どもの音楽学習における替えうたの創出・共有とその意味について
Project/Area Number |
18K13178
|
Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
森 薫 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (90624859)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 音楽学習 / わらべうた / 替えうた / エスノグラフィ / 音楽科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、音楽学習の過程で子どもたちがつくりだす替えうたに着目し、つくりだされる契機、共有され変容していく過程について、学習論や音楽教育哲学の視点からの分析・検討をおこなうものである。先行研究においては、替えうたの歌詞には焦点があてられてきた一方で、どのような楽曲が、どのようにして替えうたになっていくのかについては検討がなされてこず、歌詞に含まれる言葉の面白さのみが強調される結果となっていた。本研究では、どのようにして替えうたがうまれるのか、そこに音楽学習からみてどのような意義と機能があるのかについて明らかすることを目的としている。 本年度は3ヵ年計画の1年目にあたる。計画段階では以下を予定していた。第1に、小学校の音楽科授業を継続的に観察し、子どもたちによる自発的な替えうたの創出がおこなわれる場面をピックアップ、トランスクリプトを作成していくことである。第2に、替えうたそのものの分析をおこなうことである。第3に、第1・第2の成果を、学会発表・論文執筆することである。 2018年度の研究成果についてであるが、2017年度までにおこなってきた小学校音楽科の授業観察調査において得られた替えうたのデータをもとに、教室という場における替えうた創出が子どもたちにとってどのような意味があるのかについて考察した。これについては、得られた知見を2つの学会(日本音楽教育学会・日本教材学会)で発表している。さらに、分析を通じて替えうたにされやすい楽曲の特徴についていくつかの知見が得られた。これらの内容について、2018年10月に音楽教育学会・2019年7月にマカオにて行われるアジア太平洋音楽教育学会(Asia-Pacific Symposium For Music Education Research)で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査結果の報告の方法として国際学会での発表を選択したため、学会開催時期が2019年7月と、2018年度内に実施することがかなわなかった。 また、幼稚園・保育所の先生方への聞き取り調査から、幼児期の子どもたちを対象とした調査実施の必要性が見いだされたため、調査方法や調査地の検討をあらためておこなうこととなった。 以上の理由により、研究の進捗状況はやや計画よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は上記学会発表の他に論文執筆をおこなう。また、現在までに得られた小学校での収集データの他に、幼児期の子どもたちによる替えうたの創出・共有がどのようにして展開されるのかについてもデータを収集し、分析したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究の成果に関して学会発表をするにあたり、国際学会(Asia-Pacific Symposium for Music Education Research)を選択した。この学会の開催が隔年であったために、学会のための渡航費や参加費については、2019年度に支出が発生することとなった。 また、小学校の他、幼稚園・保育所でも調査を実施する必要性が生じたために、その場所と方法については再検討中である。2019年度以降に調査を実施するため、これに関する支出も今後発生することとなる。
|