2018 Fiscal Year Research-status Report
多読のメカニズムについて検証ー低次レベル処理能力の活性化に焦点を当ててー
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18K13188
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
阿嘉 奈月 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (10736656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | extensive reading / L2 linguistic feature / grammar / vocabulary / grammatical item / reading fluency |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、高校生レベルの学習者が年間を通して、10万語(検定教科書20冊分)程度の易しい英文(i minus 1)を能動的に読むことで、英語力が向上することを外部試験で明らかにした。しかし、多読を通してどのような技能が改善されて、英語力に結びついたのか未だブラック・ボックスの状態である。本研究は、多量の英文に触れることで文法・語彙の自動化処理がどのように発達して、読解力へ結びつくのかについて研究を行うものである。 1年目は多読による文法習得や語彙習得に関する基礎研究・パイロットスタディー・実験を行なった。多読は偶発学習の1つとして考えられているのでその類の研究も含めて調査を行なった。その結果、多読や偶発学習による語彙習得の研究はこれまで多くなされてきているが、文法習得に関してはほとんどないことが明らかになった。また文法能力(grammatical competence)の習得に関する研究は存在するが、ある特定の文法項目に焦点を当てた文法習得に関する論文はほとんどない。したがって、その分野での研究を進めることにした。 文法項目については、学習者が中学校ですでに学んでいる文法項目の中から抽出した。また実験材料に使用するテキスト分析の結果も参考にして、不定詞の名詞的用法に焦点を当てた実験をすることになった。多読による偶発学習で不定詞名詞的用法の習得が可能かどうかについての実験は終了しているが、まだデータ分析をしている段階である。これらのデータ分析を進めて、2019年度は国際学会での発表や国際誌への投稿も積極的に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多読による文法習得に関する研究がこれまでどのように行われてきているのかを把握することができた。またこれまでの課題点を踏まえて、教育実験を行うことができているので、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した多読による文法習得に関する研究のデータをまとめて、国際学会での発表や国際誌への投稿を考えている。またそれと同時に、語彙の自動化処理や読みの速度と理解度に関する基礎研究も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
9月に勤務校の異動があったため、うまく執行することができなかった。
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