2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13191
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
蒋 妍 早稲田大学, 大学総合研究センター, 講師(任期付) (90779414)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 外国人 / 博士 / 研究者 / TEM / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、若手外国人研究者が大学や研究所で研究活動を展開する経路を明らかにすることを通して、日本でのキャリア構築にかかわる政策・現状・課題を明示し、若手外国人研究者のキャリア支援に関する知見を提示することを目的とする。また、研究方法ではTEM(複線経路等至性モデル)という質的研究法を援用する。 初年度(2018年度)には、以下を対象に調査を行なった。A.博士課程の外国人学生(10名、学部非日本語専攻、非国費留学生)。B.日本で学位を取得し、日本の大学や研究所で働いている外国人(9名)。 各協力者に半構造化インタビューをおこなった。さらに、ライフライン法を併用し、日本の留学生活を振り返って、気持ちの浮き沈み(幸せかその反対か)に点数(プラスとマイナスの)を付けながら描いてもらった。その後、収集したインタビューデータに基づき、TEMの基本概念を用いて分析を行い、一部の研究成果を研究会や学会において発表した。 その中では、日本の医学研究科に進学した4名の中国人を対象に、「日本の博士課程に進学する」プロセスを明らかにした。具体的には、4名とも日本語を勉強するというプロセスを経ていた。そして、「日本に留学するという決断」に影響する要素になるのは以下の2点であった。すなわち、1)臨床医学という専攻を学べる点;2)地理的優位性である。具体的には、アメリカ留学と比べると、日本への留学は金銭的コストや時間的コストは少ないし、中国にも近いという点が彼らの背中を来日へ押していたのである。加えて、受け入れ先の選択を影響する要素として、「興味関心がある分野を重点にする」ということが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者のインタビューデータをもとに分析を行うため、インタビューの実施、テープ起こしなどに時間がかかった。さらに、インタビュー調査データが膨大な量になっていたため、その分析をまだ進めているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題の遂行をスピードアップする予定である。 1)初年度にとったデータ分析結果をふまえ、研究責任者単独での分析を行ってTEM図のたたき台を作成し、完成後に研究協力者と確認を行う。さらに、分析の精度を高めるために、研究会での発表などを積極的に行う。その後、査読付き論文として執筆する。 2)予定通りに、以下の研究対象に調査を行う。A.日本で学位を取得したが、日本以外の大学や研究所で働いている外国人;B.日本以外の国で学位を取得し、日本の大学や研究所で働いている外国人。
|
Causes of Carryover |
1)インタビューデータの文字起こしへの謝金について、研究責任者の母国語の中国人を対象としたため、安く抑えられ、未使用分が発生した。2)調査を受ける協力者の謝礼の金額には変更があったことと、謝礼の支払う方法にも変更があったため、未使用分が発生した。3)校務出張で旅費などをまかなうことができた。
|