2018 Fiscal Year Research-status Report
不登校への大学内多層的支援モデルの構築―日本とカナダの学生支援体制の比較より
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18K13193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 菜苗 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 講師 (20510291)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大学生の不登校 / 学生相談 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生の不登校は世界的に見てもわが国で特に問題視される現象である。本研究は、日本とカナダで大学生のメンタルヘルスに関わる専門家を対象として、大学生の不登校に対する認識や関わり方の特徴を比較検討する調査を実施し、不登校を生み出す環境側の要因を明らかにしようとするものである。初年度である2018年度は、これまで研究代表者が大学内の学生相談室でかかわった不登校学生の事例の見直しと類型化を中心に行なった。そのうち一つの事例については下記の国際学会で発表し、主に北米の臨床心理の専門家らからコメントをもらうことができた。 ・Nanae Takenaka. (2018). The psychological difficulty seen in the Japanese young adults today. In: The international society for psychology as the discipline of interiority, 4th International Conference. July 31st, 2018 (Dublin, Ireland). また、別の不登校学生の事例を取り上げた論考が、2019年夏に出版予定の下記の書籍に収録される予定である。 ・Nanae Takenaka. (in print). Voices from nature and withdrawal (Hikikomori) in Japanese culture. In: East Asian Cultural Complexes. Spring Journal Books. その他にもカンファレンスの開催や他大学学生相談室への視察を通して学生相談に関わる臨床心理学の専門家らと意見交換を実施し、わが国の大学生の不登校の実態とその理解や関わり方の特徴について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生の不登校について、自験例を中心とする事例検討および事例の類型化、模擬事例の作成を、おおむね当初の計画通りに進めることができた。国際学会での口頭発表やカンファレンス等を通じて効率的に国内外で学生相談に携わるメンタルヘルス支援の専門家らと意見交換ができ、次年度の調査で用いる予定の模擬事例はおおよそ完成している。 ただし、それら模擬事例の妥当性や調査での具体的な質問項目等については、実際の調査を開始する前に学生相談の場で不登校の大学生の支援にあたる専門家らからさらなる意見を集約し、検討することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は下記の3点を順次進める予定である。 1.現段階で作成されている模擬事例の妥当性を検討し、最終的な形にまとめる。 2.日本およびカナダにて実施予定の大学生のメンタルヘルス支援に携わる専門家らへの調査のための質問項目、詳細なインタビュースケジュールを確定する。 3.調査を実施する。
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Causes of Carryover |
不登校事例の検討について2018年度は研究代表者が一人で実施したため、研究補助として予定していた人件費を執行しなかった。次年度、調査データの整理のために必要となる研究補助のための人件費に充てることを計画している。
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