2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of an evidence-based guideline for independent educational improvement in junior college
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18K13194
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
山崎 慎一 桜美林大学, 心理・教育学系, 助教 (10636674)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ガイドライン / 短期大学 / 学修成果 / 大学評価 / 短期大学生調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、短期大学を対象とした全国規模の学生調査である「短大生調査」のデータを活用し、量的・質的調査から導き出すエビデンスをもとに、教育上の問題点とその改善策を示すガイドラインを開発するものである。初年度にあたる本年度は、今後のガイドライン開発に向けた基礎的な研究活動を行う時期であり、その研究活動の成果は主に二つ挙げられる。 一つ目は、大学教育学会や日本教育工学会等に参加し、専門学会において発表されている教育経験や学習成果に関する情報の収集等に関する研究の知見が得られたことである。二つ目は、アメリカにおける学生調査を用いた教育改善事例の探索のために実施した全米コミュニティーカレッジ協会への訪問調査である。当初は、テキサス大学オースティン校に所在するセンターへの訪問を想定していたが、文献研究等の先行研究の検討過程において、全米コミュニティーカレッジ協会の実施するVoluntary Framework of Accountabilityの方が、本研究において扱う短期大学生調査と親和性が高いことが明らかになり調査対象を変更した。 全米コミュニティーカレッジ協会への訪問調査から、学生調査の活用とガイドライン開発に係る示唆を得るだけでなく、先進的な活用事例や、データの活用や運用に関する問題点や課題についても明らかにすることが出来た。特に、当該分野において先進的な地域にあるアメリカにおいても、データ解析や情報の活用に関する人的資源の乏しさは課題となっており、小規模なコミュニティーカレッジではその傾向はより顕著である指摘があった。これらの知見は、本研究の目的である短期大学生調査を用いたガイドラインを開発し、実際に定着させるうえで、現場の担当者が活用可能なシステムの構築までを対象とする必要性を示すものであり、本研究課題の今後の遂行、さらには研究期間終了後の発展可能性を示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の現在までの進捗状況は概ね順調である。その理由は、国内の幅広い学会や研究会への参加を通じ、本研究課題に関する研究動向を把握することに加え、多角的なアプローチから考察を進めることが出来たことが挙げられる。所属学会だけでなく、関連する領域の学会に参加することによって、より幅広い研究者から新しい知見を得ることが出来た。 アメリカにおける学生調査を用いた教育改善事例においては、当初の予定と異なる機関への訪問調査になったが、全米のコミュニティーカレッジを統括する全米コミュニティーカレッジ協会を対象に調査を遂行し、研究部門のディレクターと研究員、国際部門のディレクター、さらには情報公開を行うシステム部門を担うエンジニアの4名に対して研究に関するインタビューやディスカッションを行うに至った。これにより、本研究において遂行している学生調査の活用とガイドラインの開発に加え、開発後の運用にまで視野を広げるに至った。 また、2019年度に実施予定である日本の短期大学における学生調査を用いた教育改善事例の探索についても、これまで実施されてきた全ての短期大学生調査に参加し、意欲的に短期大学生調査を活用する一つの短期大学の訪問調査を実施した。当該機関の学長と事務部門の統括者に対し、短期大学生調査の分析結果を示しつつインタビューを行った。これにより、短期大学生調査で得られた特徴的な結果が、短期大学関係者の持つ実感と極めて近い形で示されていることが明らかになり、得られた結果と教育活動や経験を結び付けられる可能性を示唆する成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
先の現在までの進捗状況において示したように、本研究はすでに計画書の想定以上の成果が得られており、一部の研究活動については前倒しして行うに至っている。この1年間の研究活動は概ね順調であり、2019年度以降も、引き続き継続して研究を進めていきたい。 2019年度は国内での訪問調査を中心に行う予定であり、昨年度すでに実施した訪問調査の事例を参考に、短期大学生調査の結果を示しながら、関係者へのインタビューを繰り返し、短期大学生調査で得られた量的エビデンスを、質的なアプローチからも検証し、本研究課題であるガイドラインの開発へとつなげていく予定である。この際、訪問調査を行う短期大学の地域等に偏りが生じないよう、可能な限り全国的に行い、学科等の分野においても幅広くアプローチをしていく。また、2018年度に国内外の訪問調査を実施し、関連する調査結果の分析も行ったため、これらの成果を学会等で発表し、得られた成果の普及にも努めていくものとする。 さらに、2018年度に実施した全米コミュニティーカレッジ協会への訪問調査から、ガイドラインの開発に関する知見のみならず、教育現場での活用やシステム管理や運用方法等についても先行事例を集めることに成功した。これらの研究成果は、将来的に本研究において開発予定のガイドラインの運用方法に対し示唆を与えるものであり、当研究の更なる発展性を示している。3年間でのガイドライン開発を滞りなく進めると同時に、ガイドラインの運用や関連するシステムの開発といった将来を見据えながら研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
研究計画時に想定をしていたデータ入力や整理等のアルバイト謝金を使用する段階まで研究がまとまっていなかったため、次年度使用額が生じている。次年度においては、研究をさらに発展させると同時に、これまでの研究成果を残していく必要があるため、データ入力や保存のためにこれらの謝金が発生する計画を立てている。
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