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2018 Fiscal Year Research-status Report

Theoretical and Empirical Research on Experiential Learning and Life Perspective in Higher Education

Research Project

Project/Area Number 18K13198
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

河井 亨  立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20706626)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords大学教育 / 経験学習 / アイデンティティ形成
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、大学生の〈経験学習〉と〈人生の見通しの形成〉との関係構造を解明することにある。
1.理論研究として、人生の見通しの形成の基礎となるアイデンティティ形成と学習との関係の構造を究明した。社会的・個人的・自我という3対からなるアイデンティティ形成モデルと学習理論の関係について、理論的に説明する課題に取り組み、「大学生の学習とアイデンティティはどのような関係にあるのか―学習とアイデンティティ形成の 3 対モデルの縫合―」『京都大学高等教育研究』(単著)および「アクティブラーニングおよび主体的・対話的で深い学びと学生の成長のあいだにはどのような関係があるのか」『社会システム研究』(単著)を公刊した。
2.実践研究として、大学生の成長理論の概念を用いて学生の経験からの学びと成長を明らかにする研究を進め、「大学生の成長理論を通してみる-長期インターンシップ経験学生の成長とその要因」『京都大学高等教育研究』(第二著者)が公刊された。長期インターンシップ・プログラムを運営し、学生の追跡インタビューを行う第一著者とともに、学生の語りから見えてくる学びと成長と学生の成長理論を接合した。また、「課外自主活動における学生の成長―ワークショップによる成長調査を通じて」『立命館高等教育研究』(第二著者)では、大学生の成長支援を進める第一著者の職員と教職共同でプロジェクトに取り組み、学生支援型ワークショップを開発した。「『体験の言語化』の多分野への展開とその可能性」『第25回大学教育研究フォーラム発表論文集』の発表では、体験の言語化手法の広がりとそこにある陥穽と契機について自己前提の批判的検討を行う議論を整理した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大学生の〈経験学習〉と〈人生の見通しの形成〉との関係構造を解明するという研究課題に対し、今年度は、理論研究の点での前進が見られた。経験学習については、概念的な定義の曖昧さがこれまでも指摘されており、学習理論やアクティブラーニングといったより広い脈絡から経験学習を位置づける必要性が指摘されていた。今年度の研究では、より広い脈絡から学習を捉えつつ、アイデンティティ理論として社会的・個人的・自我という3対からなるアイデンティティ形成モデルを成長の軸として措定することで、両者の関係性の明確化という課題に取り組んできた。その結果、学習研究の諸概念、大学生の成長理論の諸概念、構造とエージェンシーをめぐるトランジション研究およびライフコース研究の諸概念を同一の理論平面に並べて結びつけることができた。この到達点は、今後の実践研究と実証研究に対する枠組みを提供するものである。
並行して、実践研究では、そのような理論的アイデアと呼応する実践のあり方および実践研究のあり方を検討した。実践研究としては、大学生の成長理論およびアイデンティティ形成理論の諸概念と実際の学生の成長の実態(学生が語る成長のナラティブ)と関連づける作業を行なった。長期インタビューの結果により見出された「時間をかけて自分が変化していくことを信じられるマインドセット」という成長の姿は、既存の理論概念に基づきつつ、新たな学生の姿を複合的に捉える見方として創出されており、理論と実践が相互に形成しあう可能性の実現の1つである。また、学生の成長支援型ワークショプの方法論は、「結果のための道具の方法論」を拒否して「結果と道具の方法論」の体現ととらえうるものであり、実際に学生の成長支援につながっている点で有意義である。以上を踏まえ、本研究課題は、おおむね順調に進行していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

〈経験学習〉と〈将来の人生展望の形成〉における関係構造の基礎をなす学習とアイデンティティ形成の関連性についての理論研究が一定進んできたことで、大学生の成長理論の諸概念をそれらに位置づけていくという課題が見出された。具体的には、大学生のリーダーシップ発達およびセルフ・オーサーシップ発達の概念を位置づけること、また大学生の成長理論の展開を跡づけ、今後の研究課題を展望することが課題となる。
理論研究を踏まえた実践および実践研究をさらに推進することが課題である。理論の役割はデータの解釈を可能にするとこにある。したがって、大学生の成長理論だけでなく、学習とアイデンティティ形成の関係性を踏まえた学生の成長実態の解釈に生かしていくことが実践研究の課題である。また、学習とアイデンティティ形成の関連性の検討から見出されてきたアイデアをもとに実践の中の学びと成長の実態を把捉する実証研究も課題となる。具体的には、課外活動を通じた学生の成長の実態把握の実証研究が次の研究課題として設定される。さらに、これまでに取り組まれている学生の成長を実態把握する実証研究の知見を理論に関連づけて再総合することも研究課題として見据えている。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2018

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] アクティブラーニングおよび主体的・対話的で深い学びと学生の成長のあいだにはどのような関係があるのか2019

    • Author(s)
      河井亨
    • Journal Title

      社会システム研究

      Volume: 38 Pages: 1-27

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 課外自主活動における学生の成長ーワークショップによる成長調査を通じて2019

    • Author(s)
      今川新悟・河井亨・真田樹義
    • Journal Title

      立命館高等教育研究

      Volume: 19 Pages: 111-121

  • [Journal Article] 大学生の学習とアイデンティティはどのような関係にあるのか ―学習とアイデンティティ形成の 3 対モデルの縫合―2018

    • Author(s)
      河井亨
    • Journal Title

      京都大学高等教育研究

      Volume: 24 Pages: 67-77

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 大学生の成長理論を通してみる 長期インターンシップ経験学生の成長とその要因2018

    • Author(s)
      高澤陽二郎・河井亨
    • Journal Title

      京都大学高等教育研究

      Volume: 24 Pages: 23-33

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 「体験の言語化」の多分野への展開とその可能性2019

    • Author(s)
      兵藤智佳・佐野香織・菅新汰・和栗百恵・河井亨
    • Organizer
      第25回大学教育研究フォーラム発表論文集

URL: 

Published: 2019-12-27  

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