2018 Fiscal Year Research-status Report
大学における退学防止モデルの提案―大学間・時点間の退学率データ分析から―
Project/Area Number |
18K13201
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
紺田 広明 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60734077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中途退学 / 退学理由 / 量的分析 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大学における退学率を規定する要因について検討し、退学防止モデルを提案する。今年度は、1)テキストマイニング:退学経験者のインタビューデータをテキストマイニング、2)フィールドワーク:大学の現場での退学リスク評価の現状と課題に関する聞き取り調査を予定していた。大学の中途退学者のインタビューデータについて、KH Coderを使用して、テキストマイニングを行った。出現する語では、「生活」、「進学」、「授業」(以上、文系)、「活動」、「働く」、「就職」(以上、理系)が多かった。共起ネットワークでは、高校時代の充実や受験に関わるまとまり、人間関係に関するまとまり、学費やバイトに関わるまとまりを主として見出すことができた。さらに、対応分析では、文系では、意欲や興味、勉強という語が特徴的であり、理系では専門や就職、仕事などが特徴的な語として示された。これらのことから、退学者自身の高校時代や大学受験、人間関係、学費やバイトという生活面において、中途退学へ至る理由を見出していることが推測された。ただし、中途退学の理由は個人差が大きいこと、またインタビューごとのまとめ方の違い、現在と中途退学当時との時間差などによる違いがあることに留意することが重要であった。一方、次段階である分析手法に関して情報収集が必要と判断して、教育工学会に参加して、教育工学に関する研究における分析手法や測定に関わる最新の知見や情報を収集した。以上として、退学率を規定する多様な要因を検討するうえで、分析手法の洗練や、退学者自身の語りから有用であろう要因について把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の初年度は、テキストマイニングとフィールドワークに重点をおき、退学経験者と大学現場の双方が、退学をどのように考えているかに関して予備的に調査を予定していた。第1段階【テキストマイニング】:退学経験者のインタビューの二次分析から、退学者側から見た時代や大学の環境としての退学要因を探索することができたが、第2段階【フィールドワーク】の実施に取り掛かることができなかった。このため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
他大学へのフィールドワークに取り掛かることができなかったのは、昨年度に自身の所属が変わったことによる所属大学での研究や教育等の環境変化への対応に時間を要し、外部における調査実施に至らなかったことによると考えている。今後はそのような時間を必要としないため、他大学へのフィールドワークに十分に取り掛かることが可能であると考えられる。また、第3段階で予定している【大学・時点間の退学データの構築】に関してはデータを収集していく手はずを整えていくこと、最終段階【ベイズ推定等による計量的分析】に関しては、学会等による情報収集をしながら準備を行っていく。
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Causes of Carryover |
他大学へのフィールドワークのための予算を計上していたが、実施できなかったため。次年度の使用計画としては、当初の予定通り、他大学へのフィールドワークに取り掛かるために使用する。
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