2020 Fiscal Year Research-status Report
大学における退学防止モデルの提案―大学間・時点間の退学率データ分析から―
Project/Area Number |
18K13201
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
紺田 広明 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60734077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中途退学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大学における退学率を規定する要因について検討し、退学防止モデルを提案する。本年度は、大学における退学の防止や支援に関する施策に着目して、大学の取り組みの現状を明らかにすることを進めた。コロナ禍の影響があり、現状把握を改めて行うこととした。また、フィールドワークの実施が難しいことから、対外的に公表されている自己点検・評価報告書を研究対象として各大学の退学への対応や支援の整理を試みた。また、一般に社会的に責務が大きいと考えられる大規模な大学を対象(在学生数が1万人以上)として、38私立大学を対象とした。その結果として、中途退学につながる可能性が高いと考えられる成績不良者・低単位修得者に対する面談は対象とした大学の6割以上において記載されていた。他方で、大学全体としての退学の防止の数値目標を定めて行っているところは少数であった。加えて、教学IR(Institutional Research)による学修や退学の状況の分析等の記述は数大学に留まっていた。そのため、現状の大規模大学における退学対策は、退学可能性が高そうな学生に対して面談という教学上の方法が主流であり、退学の要因・原因の分析などデータに基づく取り組みは少ない状況がわかった。一般に大規模大学は小規模大学よりも退学率は低いとされる。しかし、本年度の研究からは大規模大学ならではの教員間の情報共有やデータに基づく施策の実施など難しさがわかる結果であった。これは、データに基づいて教学上の意思決定を行っていくことの難しさや、退学に関わるデータの収集・分析の難しさによるためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、コロナ禍の影響により、フィールドワークの実施が困難であった。そのため、対外的に公開されている大学の自己点検報告書から退学対策や防止の現状を試みた。他方、コロナ禍への対応のため、当初予定していた研究時間を確保が難しく、予定していた大学・時点間の退学データの構築やベイズ推定等による計量的分析に関しては十分に実施には至っていないためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第3段階で予定していた【大学・時点間の退学データの構築】において大学における退学関連データの収集を行いデータセットの構築をする。また、最終段階である【ベイズ推定等による計量的分析】については、構築したデータセットにおいて退学防止に関わるモデルの提示を試みる。また、これまでの成果について学会での発表等を行いながらこれらを進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により十分に研究遂行する時間を確保することが困難であったことによる。またフィールドワークを実施できないことによるため。
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