2019 Fiscal Year Research-status Report
自発的な空間的視点取得に着眼したASD児の模倣の特性解明と指導法開発
Project/Area Number |
18K13208
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
朝岡 寛史 筑波大学, 人間系, 特任助教 (20808042)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 空間的視点取得 / 模倣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、他者が何を見ているかを推測する能力とされる「空間的視点取得 (spatial perspective-taking)」に着眼し、目に映ったままの他者の動作をまねる傾向があるという自閉スペクトラム症児の模倣特性の解明と指導法の開発を目的とした。 2019年度は、昨年度検討した 自閉スペクトラム症児における空間的視点取得の成立条件 (例えば、対象物を注視し続けながら他視点に移動する) をもとに、眼球運動を指標として、國平ら (2004) を参考にした「手の形課題 (体の前に出した両手の動作・形を模倣する課題)」を実施した。課題では、被模倣者と参加児 (模倣者) が対面して着席した。参加児はグラス型アイトラッカーを装用した。そして、被模倣者は「先生から見た手の形をまねしてね」と教示し、単純な手の形を提示した。テスト条件では、被模倣者は両手を地面に水平に伸ばした。このとき、左/右手の交差の有無、手の向き (手のひら/甲が上向き)、手の形 (グー/パー) の3要素を組み合わせた手の形を提示し、参加児に模倣させた。続く他視点からの見えの観察条件では、誤反応生起時に、参加児は被模倣者の手の形を見続けながら、被模倣者の視点に移動し、その見えの変化を観察した。正反応生起時の参加児の視線は、被模倣者の両手を中心に体や顔に停留した (相互的な注視行動の出現)。以上の結果から、他視点からの見えに基づく模倣が生起するためには、被模倣者の手の形に加え、体や顔の向きに着目する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASD児における空間的視点取得の成立条件を模倣課題に適用し、その効果を検証することができた。このことから、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、自閉スペクトラム症児における自発的な空間的視点取得の分析に基づく模倣の指導法開発を進める。
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