2020 Fiscal Year Research-status Report
小・中学校の自律的改革のための形成的評価指標の開発とその実用化に関する研究
Project/Area Number |
18K13209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮内 久絵 筑波大学, 人間系, 助教 (40530986)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 評価指標 / 低発生頻度障害 / 視覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本において、差異や多様性を尊重する共生社会の構築を目指したインクルーシブ教育システムを実現するための基礎的研究である。今年度は昨年度に引き続き、システマティックレビューを実施し、調査関係者とはメールやZoom等を通じ情報交換を実施した。今年度明らかになった点は以下の通りである。 1.1980―2020年までに発表された視覚障害児のインクルーシブ教育に関する査読付き英文論文は472編あり、中でも通常の学校教員による意識・態度と教科教育に焦点を当てた論文は18編であった。18編をレビューした結果、通常の学校教員の視覚障害児のインクルーシブ教育に対する意識・態度は知的障害や行動障害を有する児童生徒のインクルーシブ教育と比較してポジティブであった。一方で、視覚障害のなかでも盲に対しては弱視よりもネガティブな意識を有する教員が多かった。 2.視覚障害児が通常の学校で質の高い教育を受けるためには、その子どもの教育的ニーズに基づく支援が、通常の学校の教員と外部専門家との協力のもと確実に提供される必要がある。アメリカでは、それを実現するため州立盲学校が積極的に支援を実施していた。また、その活動は、子どもの教育的ニーズを主軸としたIndividual Education Plan(個別の教育計画)と、関係者間の良好な協力関係よって支えられていた。ドイツでも視覚障害児の教育的ニーズを主軸にした年間教育計画の作成と、それに基づく関係者間の話し合い・連携が重要視されていることがわかった。質の高いインクルーシブ教育を実現するうえで、教育的ニーズを主軸とした関係者間の協議が重要であることがわかった。よって、本研究が目指す評価指標も、子どもの教育的ニーズを主軸とする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染拡大の影響を受け、海外での調査や海外発表ができなかったが、研究関係者とはZoomやE-mailを通じたやり取りを続け、研究成果の一部も順調に海外雑誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はこれまで得られた研究成果をもとに、日本の学校教育の文脈に即した形成的評価指標の在り方を検討する。そのため、国内外の学校関係者並びに研究者からの協力を得る。得られた成果は海外雑誌に投稿し、発信する。
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