2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of reading game soft for early identification and intervention for children with high risk for reading difficulties.
Project/Area Number |
18K13220
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丹治 敬之 岡山大学, 教育学域, 准教授 (90727009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初期の読み書き発達 / 縦断研究 / 認知的規定因 / 家庭のリテラシー環境 / 早期支援 / 効果検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、初年度から実施している縦断調査データの分析、研究成果発表、介入研究を行った。 1.縦断調査データの分析:就学前幼児(年長児)から小学3年生までの4年間の縦断調査データを分析した。具体的には、以下の2点から分析を進めた。第一に、小学2~3年生のかな単語読みの流暢性、漢字の読みを予測する認知能力や読み能力に関する分析であった。年長児時点での認知課題の成績が、2~3年後のかな単語や漢字の読み成績をどの程度説明するのかについて、重回帰分析の手法を用いて分析した。その結果、かな単語の読み速さと漢字の読みを予測する認知的変数は、共通するもの、それぞれで異なるものがあることが明らかになった。第二に、家庭での読み書き環境と、年長から小学1年生のかな単語読み速さ、さらには小学2年生から小学3年生の漢字読みとの関係について、重回帰分析を用いて調べた。その結果、就学前後に親が子どもに文字を教える頻度は、子どものかな単語読みパフォーマンスに影響を受けること、本の読み聞かせ頻度、直接文字を教える頻度よりも、子どもが本等のリテラシー資源にアクセスする頻度が、子どものかな単語の読みと漢字の読み成績に影響を与えることが明らかになった。この結果より、就学前後からの読み困難な子どもとその保護者支援の重要性、豊かな読み環境を子どもに与えることの重要性が示唆された。 2.研究発表:縦断調査データの一部をまとめた研究論文が、Frontiers in Psychologyに掲載された(Front. Psychol., 26 April 2023, Sec. Educational Psychology)。 3.介入研究:小学校低学年の読み困難な子どもを対象に、PCを用いた読み支援効果を検証した。音声と文字を対呈示する学習教材を開発し、かな単語読みの流暢性向上が確認された。今後、研究を継続する予定である。
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