2019 Fiscal Year Research-status Report
学校規模のポジティブな行動支援を支えるデータシステム(日本版ODR)の開発
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18K13230
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
田中 善大 大阪樟蔭女子大学, 児童教育学部, 准教授 (60729143)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校規模ポジティブ行動支援 / SWPBS / 日本版ODR / データに基づく意思決定 / 応用行動分析 / 多層支援モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、学校規模ポジティブ行動支援(School-wide Positive Behavior Support、以下SWPBS)の実践を支える児童生徒の問題行動に関するデータシステム(日本版ODR)の開発に向けて、ODRに関する文献研究、登校状況の記録を活用した事例検討システムの開発、日本版ODRの実施の3つの研究を行った。文献研究では、ODRに関する展望論文を作成し、行動分析学研究に採択された(田中, 2020)。この論文の中で、SWPBSの実践を支えるデータシステムに求められる3つの機能(アセスメント、プログレス・モニタリング、スクリーニング)を明らかにした。加えて、日本でのデータシステムの開発においては、ODRだけでなく学校の既存の記録等の活用が有効であることも指摘した。登校状況の記録を活用した事例検討システムの開発では、SWPBSの実践を支えるデータシステムとして登校状況の記録を用いた。特別支援学校でのSWPBSに基づく不登校支援におけるアセスメントとプログレス・モニタリングのツールとして登校状況の記録を活用し、これに基づく事例検討システムを開発し、その効果を検証した。ここでの成果は、2020年度に論文化することを計画している。日本版ODRについては、管理職等による生徒指導件数を収集するためのデータシステムを開発し、複数の協力校で実施した。これに加えて、学校の既存の記録の活用として、保健室利用件数についても複数の学校において収集した。日本版ODR及び保健室利用のデータを収集した学校では、妥当性を検討するために児童生徒の行動的・情緒的問題の尺度(日本語版SDQ)等も合わせて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、日本版ODRの基準関連妥当性の検討と介入の評価ツールとしての妥当性の検討を計画していた。2019年度の進捗状況としては、ODRに関する文献研究からSWPBSの実践を支えるデータシステムに求められる要素を明らかにし、そこから日本版ODRを含む包括的なデータシステムの開発の有効性を示した。これに加えて、登校状況の記録を活用した事例検討システムを開発し、その効果を検討した。ここでは、登校状況の記録というデータシステムが、学校の中で継続して実施可能なものであることと、事例検討システムの効果を検証するための評価ツールとして有効なものであることが示された。日本版ODRについては、複数の学校で実施し、合わせて基準関連妥当性と介入の評価ツールとしての妥当性を検討するための質問紙調査を行った。これに加えて、保健室利用のデータの収集を行った。2020年度は、これらのデータを活用し、2019年度及び2020年度に計画していた基準関連妥当性、介入の評価ツールとしての妥当性、スクリーニングツールとしての妥当性の検討を行う。2020年度に計画していた日本版ODRのアプリケーションの開発については、2019年度に協力者である庭山和貴氏(大阪教育大学)と共同での研究を行った。庭山氏との共同でのアプリケーションの開発は、2020年度も継続して行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、SWPBSの実践を支えるデータシステムとして日本版ODRを含む包括的なデータシステムの開発を行う。SWPBSの実践を支えるデータシステムに求められる機能を学校現場で持続可能な形で実現するためには、日本版ODRに加えて、複数のデータシステムを開発することが重要である。複数のデータシステムを開発し、その中から各学校の状況に合わせて、データシステムを選択し、組み合わせて活用することで、効果的且つ持続可能なデータシステムとなることが予測される。包括的なデータシステムの開発に向けて、2019年度に日本版ODR及び保健室利用のデータの収集と、妥当性を検討するための質問紙調査を実施した。2020年度は、包括的なデータシステムの開発に向けて、2019年度に収集したデータを用いて、日本版ODRと保健室利用のデータの基準関連妥当性、介入の評価ツールとしての妥当性、スクリーニングツールとしての妥当性について検討する。加えて、2020年度は、2019年度に実施した特別支援学校における登校状況の記録を活用した事例検討システムの開発に関する研究で得られたデータを論文化する。この中でSWPBSの実践を支えるためのデータシステムの効果的な活用方法等について明らかにする。日本版ODRのアプリケーションについては、2019年度と同様、協力者である庭山和貴氏(大阪教育大学)と共同で研究を実施し、開発を進める。
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Research Products
(6 results)