2023 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the Formative Factors of Relational Impairment in Autistic Children: From the Perspective of Cognitive Bias Toward Emotional Stimulation
Project/Area Number |
18K13231
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
榊原 久直 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 講師 (90756462)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関係発達 / 関係障碍 / メンタライゼーション / メンタライジング / スティグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症児とその身近な他者との関係性の中に生じる“関係障碍”の形成要因として,子どもの“心的状況の読みとり”をする養育者側の能力に着目し,どのような関係性やその歴史,認知的なバイアスが,身近な他者の持つこの能力に影響を与えるのかについて検討を行した。 本調査を通じて,子どもの心的状況の読みとり能力に関して,(1)一般人(大学生)を対象とし“障碍という認知のバイアス”を測定する量的研究,(2)保育士ら支援専門職らを対象とした認知バイアスの量的研究,(3)隣接する他の子どもに関わる支援職らを対象とした認知バイアスの量的研究を中心に行った。 その結果,そ一般人(大学生)の場合,この子どもはASD特性を有する子どもであるという“障碍という認知のバイアス”を誘発するような先行情報を提示しても,子どもの明瞭な感情表出に対しては感情や意図の読み取りに差は生じなかった。その一方で,大人によって読み取りに差が生じやすい,子どもの“あいまいな感情表出”に対しては,よりネガティブな感情だと,より強く評価しやすい傾向が見られた。 他方で,保育士・教師の場合,一般人と同様に,子どもの明瞭な感情表出に対しては差は生じなかったが,子どもの“ネガティブな感情表出”や“あいまいな感情表出”に対して,その感情をネガティブな感情だとは評価しなくなる傾向や,感情や意図の強さをより弱く評価するという傾向が見られた。 また,一連の研究成果を研究室のホームページを介して公表するとともに,保護者向け研修や職員研修を通じて,発達的な凸凹さを抱える子どもとの関わりにおいて,発達特性という視点からだけでなく,同時に,一人の人間として,愛着関係の視点から子どもと自分との関わりを捉えられるようにすることを目的とした研修活動を行った。
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