2018 Fiscal Year Research-status Report
音韻意識検査に基づく英語読み書き困難リスク児の検出および介入法開発
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18K13233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 安寿子 東京大学, 高大接続研究開発センター, 特任研究員 (60749860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語 / 音韻意識 / 小学生 / 英語学習困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学生でも実施可能な英語の音韻意識検査を作成するため,米国で標準化されたThe Phonological Awareness Test 2(PAT 2)の短縮化,および短縮版の妥当性検証を行った。オリジナルのPAT 2は13種類の課題(全130問)からなり,日本語母語の定型発達成人でも実施に30-45分を要するため,小学生に全問題を実施することは難しいと考えられた。そこで,一昨年度に調査を行った日本語母語成人(N=109)の基礎データから,英語音韻意識の高低をより鋭敏に検出し,かつ英語の読み書き成績(文字/書記素と音素の対応,無意味語の音読,音声単語のディクテーション,語彙テスト)との相関が高く保たれる問題を選択したところ,13課題(130問)中6課題(60問)が短縮版の候補となり,実施時間を約半分にすることが出来た。この短縮版PAT 2を用いて定型発達の小学生における予備調査を行ったところ,全ての課題について教示や実施方法の理解は可能であり,高学年では定型成人の平均に近い成績を示すことが示された。また,低学年でも実施可能な課題があり,英語学習困難の可能性を早期から評価出来る可能性が示唆された。さらに,英語の学習困難を主訴として外来受診した小学生(日本語-英語のバイリンガル環境児)および中学生・高校生に,短縮版PAT 2を予備的に実施したところ,いくつかの課題で成人や定型小学生よりも成績が低下しており,英語学習困難の検出や予測に有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学生における英語音韻意識の一般的傾向を調査する準備,および英語困難のある子どもも含めた予備的検討は終了したものの,小学生の集団調査を完了するには至らなかった。よって,現在までの進捗状況として,当初の計画からはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で作成した短縮版の音韻意識検査(PAT2)を用いて,定型小学生を対象としたデータ収集を進め,検査を構成する課題の通過率や成績分布を調査する。その結果を基に,日本語母語児における基準値を策定する。合わせて,アルファベットの知識や読み速度,英単語の復唱等の評価を行い,音韻意識の検査成績との対応を検討する。
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Causes of Carryover |
小学生を対象とした集団調査の実施に至らなかったため,物品費および旅費が計画よりも抑えられた。集団調査は次年度に実施する予定であるため,次年度使用額はそれに係る物品費,旅費,および謝金(必要な場合)として使用する。
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Research Products
(1 results)