2018 Fiscal Year Research-status Report
副校長の熟達を支えるメンタリング環境調査と研修ツールの開発
Project/Area Number |
18K13234
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
脇本 健弘 横浜国立大学, 教育学研究科, 准教授 (40633326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 副校長 / 管理職 / メンタリング / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、副校長が管理職として成長する際に、校内の校長や他校の校長・副校長、教育委員会の指導主事等からどのような支援を受けているのか、その効果はどうなのか、実態を把握する調査を行い、副校長の効果的なメンタリング環境を明らかにすることである。2018年度は、副校長に関する先行研究の調査や、副校長に対する聞き取り調査、副校長と校内の他の管理職やミドルリーダーとの連携に関する分析、また、副校長の経験学習に関する分析を行った。副校長と校内の他の管理職やミドルリーダーに関する分析については書籍にてその成果をまとめた。また、副校長の経験学習に関する分析については、日本教育工学会における研究会にてその成果の発表を行った。副校長の経験学習に関する分析では、経験学習をもとに、副校長がどのように学び、それらがどのように副校長の成長と関係しているのか、分析を行った。その結果、経験学習の各サイクルによく取り組めている循環型の副校長が、様々な場面でより効果的に学べており、効力感も高いことが示された。一方で,次に人数が多いのが停滞型であり,経験学習のすべてのプロセスで課題を抱えており,早急に支援が求められる。また,「具体的経験」のみ課題を抱えている経験不足(他充実)型も一定数存在している.多忙を感じている中において,日常的に新しい経験,挑戦を積み重ねていくことは難しいとは考えられるものの,そのような機会を経験できるよう支援が求められる.今後、これからの結果をもとに、本研究の主題に関連して、経験学習と人との関わりについて分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は主に副校長や管理職等に関する先行研究の調査や、副校長に対する聞き取り調査(インタビュー調査)を行い、また、副校長と校内の他の管理職やミドルリーダーとの連携に関する分析、副校長の経験学習に関する分析等を行った。特に、経験学習をもとに副校長の学びの現状や課題、今後質問紙で調査すべき点について明らかにすることができた。これにより、次年度作成する質問紙の副校長の学習に関する項目や、他者との関わり、メンタリングに関する項目の素地を作ることができ、次年度の質問紙の完成に向けて前進しているといえる。また、それらの成果を日本教育工学会における研究会において発表することもでき、副校長の研究として貢献することもできたと考えられる。書籍という形で広く知見を紹介することもできた。以上をふまえ、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は質問紙の完成を目指している。そのために、副校長へのインタビューをさらに進めていく予定である。また、引き続き先行研究のレビューも進めていく予定である。以上に加え、これまでに副校長の学びに関する自由記述の調査も行っており、それらの分析を行うことで、副校長がどのようなことから学んでいるのかより明らかにする。それらの結果を質問項目の作成に生かしていく予定である。 現段階で想定している質問項目は次の通りである。(1)メンタリング(他者との様々な関わり)、(2)副校長の熟達(成長に関する効力感、バーンアウト、これまでの経験など)、(3)所属校の組織状況、(4)職務の状況などを考えている。また、次年度の調査をもとにさらに項目を増やしていくことも考えられる。
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Causes of Carryover |
2018年度は横浜市を中心にインタビュー調査を行ったため、費用が想定よりもかからなかった。また、2018年度は、学会発表が東京都内など関東開催の学会で発表などを行ったため、費用が想定もよりもかからなかった。次年度はその分広範囲でのインタビュー調査・学会での発表や情報収集を行う予定である。 また、2018年度についてはデータ量が想定よりも少ない範囲で成果を出すことができたため、人件費・物品費等が当初の予定よりもかからなかった。2019年度については自由記述の分析等を行うため、その分について人件費や物品費を充実させる予定である。
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