2020 Fiscal Year Research-status Report
副校長の熟達を支えるメンタリング環境調査と研修ツールの開発
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18K13234
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
脇本 健弘 横浜国立大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (40633326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 副校長 / 管理職 / メンタリング / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、副校長が管理職として成長する際に、校内の校長や他校の校長・副校長、教育委員会の指導主事等からどのような支援を受けているのか、その効果はどうなのか、実態を把握する調査を行い、副校長の効果的なメンタリング環境を明らかにすることである。2020年度は予定では副校長を対象にした研修を行う予定であったが、コロナ禍のため、実施を見送り、分析を中心に行った。 2019年度に行った自由記述の分析をさらに進め、校長、副校長の双方のデータの分析を行うことで、より長期な成長を見通した知見を明らかにすることができた。また、副校長の経験学習と職務の効力感の影響関係について、メンタリングに関係する事項として、他者との関わりなど成長につながった具体的経験、学校文化や他の要素も用いて、モデル化を試みた。結果、経験学習が直接的に職務に関する効力感に影響を与え、また、上記成長につながる経験にも影響し、そこから職務に関する効力感に影響を与えていることが明らかになった。その中で、バーンアウトが与える負の影響や主任の経験などが与える影響について明らかになった。また、効力感が学校文化に影響を与え、それが能力向上につながる経験に影響するなど、副校長の経験学習が、職務に関する効力感を高め、それにより学校文化が改善し、さらに副校長の経験に良い影響を与えるといった、循環モデルも実証された。経験学習によって副校長が成長している学校は、学校文化が改善し、それがさらに副校長の経験(メンタリング など他者との関わりの中での学びなど)を自身の成長にとって意義あるものにし、良い循環が生まれていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析は様々な視点で行うことができたものの、当初予定していた副校長を対象とした研修は、コロナ禍の影響のため実施することが困難であり、次年度に行うことした。そのため、2020年度は分析を中心に取り組んだ。副校長の成長を、前段階のミドルリーダーや校長も見据えて長期的な視点で分析し、また、共分散構造分析をもちいた分析などを行うことができた。その他にも様々な事項と組み合わせて分析に取り組んできた。その成果の一部は、日本教育工学会における学会発表や、日本教育工学会論文誌(Suppl.)や教育デザイン研究にて論文として投稿、採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き、2021年度についても、コロナ禍により先行きが不透明な部分が多く、研修の実施は困難なことが予想されるものの、2020年度に取り組めなかった研修の開発し、実施する予定である。これまでの調査結果をいかした研修を開発し、実施予定である。他者との関わりや経験学習についてツール等で振り返ることも想定している。また、分析についても、さらに進め、成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍のため、一切の出張ができなかったため、また、人件費等についても雇用が難しいことなどもあり、費用がほとんど掛からなかった。2021年度は2020年度に費用が掛からなかった分、分析をさらに進め、研修の開発・実施のために費用を用いる予定である。
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